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3.10 10 万人のことば
ダンス|鈴木一琥 音声構成|カワチキララ

2011年 3月9日(水)
3月10日(木
19:00
15:00
19:00

まもなく定員

入場|3,000円(1ドリンク付) 定員|各回30名

ご予約方法 >>

 

66年前。東京。
1945年3月10日未明
東京下町を中心に米軍機による日本最大規模の空襲。
一晩で約10万人のいのちが亡くなったと言われている。

いのち

10万人のいのちは、
ひとつひとつに声があり、
ひとつひとつにからだがあり、
ひとつひとつにことばがある。

かつて東京一帯は焼け尽くされ、焼け野原と化した。

逃げ惑う人びと
吹きすさぶ突風
立ち上がる火柱

ある者は焼けこげ、
ある者は凍え死ぬ
赤ん坊を抱いたまま、
立ち尽くす女性

筆舌に尽くしがたい光景は、
消えて行ったいのちとともに遠い過去のこととなった。
実際の体験者のインタビューをもとに構成された本作品は、
私たちが忘れかけた先祖の記憶を鮮明に浮かび上がらせる。

その記憶は、空襲を生き延びた土蔵から、
世界へ向けて、呼びかける。
何かを共有するために。

「3.10 10万人のことば」

これは、
2011年の今を生きるすべての人たちへの、
消えていった10万人の、
生き残った人びとの、
ひとつひとつの、
いのちの物語である。

text:鈴木一琥



photo |ダイトウノウケン

ダンス公演『3.10 10万人のことば』は、2005年以来毎年同じ日付、同じ場所で開催されています。66年前のある夜に失われた「ことば」をサウンドコラージュとダンスによって作品化する取り組みは、ダンサー・鈴木一琥とアーティスト・カワチキララによるものです。
1945年3月10日未明、一夜にして10万人の命が奪われた東京大空襲。インタビューを重ね、カワチが編集した生存者の証言は、戦時下における人々のささやかにあたたかい日常と、そのすべてを焼き尽くした恐怖の夜を描き出します。
密室の板の間に30名限定の観客、体が触れるほどのわずかなスペースで踊る鈴木の肉体が纏うものは、その夜永遠に失われた「ことば」、そして66年の苦しみを生き抜いて来た人々の現在の「ことば」です。
会場となるのは江戸末期の浅草に建てられた土蔵を再生したアートスペース、ギャラリー・エフ。厚さ30cmの土壁が猛火から建物を守り、焦土にぽつんと立つ姿は空襲の記録写真にも残されています。時と空間、そして表現の力によって現在に引き寄せられる「3月10日」を追体験する45分間です。

※終演後、アメリカ人写真家ポーレ・サヴィアーノによる東京大空襲被災者のポートレイト作品をご観覧いただけます。

 

企画制作/主催|鈴木一琥、カワチキララ 制作/共催|ギャラリー・エフ
照明|テトラロジックスタジオ 音響操作|加藤淳一
衣装|最強
写真|ダイトウノウケン
協力|東京大空襲・戦災資料センター
証言|田口智子、藤井正昭、長瀬静子、高橋千恵子、辻博也、進藤貞子、橋本代志子、二瓶治代、亀谷敏子、葉山美佐子、小野芳子(インタビュー順、敬称略)


photo |ダイトウノウケン

2010年公演の感想文より(50代・男性)
東京大空襲の10万人の犠牲者たちの苦痛を、自分の体に感じて踊る鈴木一琥さんを、観客はただ見つめるしかない。
しかし、その苦痛は、死んで行く人たちをただ見送ることしか出来なかった、生き残った人たちの気持ちに想いを馳せることなのかもしれない。


今年も公開稽古を行います。「場」を呼吸しながら3月10日当夜へと向かって形作られてゆく公演を、出演者、スタッフとともに体験してみてください。

公開稽古3月6日(日)14:00〜18:00[見学無料]

稽古の進行が優先されます。休んでいる時もあるかもしれませんが、お気軽に覗いてみてください。
見学スペースはギャラリー内のみです。混雑時は譲り合って見学してください。
カフェは通常営業しておりますのでご着席の際はご注文をお願いいたします。

 

鈴木一琥(すずきいっこ/ダンサー)
1972年、東京生まれ。立命館大学在学中の演劇活動から、卒業後はダンス表現に向かう。日本の伝統芸能・神楽を学びつつ、舞踊の根源を探求している。これまでに伝統・現代を問わずアジア・ヨーロッパ・オセアニア各地で公演やワークショップを行う。2010年11月マレーシアのメラカアートフェスティバルに公式招聘。最新作に現役町工場とのコラボ企画「すみだフリオコシ」がある。

カワチキララ (アーティスト)
1971年、千葉生まれ。94年、米・メリーランド美術学院油絵科卒業。2003年、9.11と反戦をテーマとした「Crane Project 〜つるがおるもの〜」にて「第5回ロレアル色と科学の芸術賞」大賞を最年少で受賞。国立科学博物館で講義を行うなど、科学と美術の融合、歴史・反戦・進化などをキーワードに映像を使うインスタレーションからドローイングまで、多岐にわたるアート作品を制作している。

ギャラリー・エフ
江戸時代末の慶応4年(1868)に建立された浅草・雷門の土蔵を再生し、1997年にアートスペースとしてオープン。関東大震災、東京大空襲、そして都市再開発を生き延びた建物を保存・活用しながら、国内外のアーティストの展覧会や演奏会、パフォーマンスなど開催している。1998年有形登録文化財登録。

 

 

1945年3月19日、東京大空襲から1週間後の浅草。松屋デパートの屋上から撮影された焼け野原の風景。 隅田川に架かる手前が吾妻橋、奥が駒形橋、江戸通りをはさんで中央、円で囲んである建物がギャラリー・エフの土蔵。
『東京空襲を記録する会』より寄贈

同じ位置より2006年に撮影

過去の公演より
2010.3.10
2009.3.10
2008.3.10
2007.3.10
2006.3.10
2005.3.10