2005

1.10:00 - 29
金大偉Project TAO

N 35.41.11,E 139.45.19 〜陰陽〜
映像と音楽によるインスタレーション

金大偉とProject TAOが「龍の光」をキーワードに
東京の2つのギャラリーを連動させた映像と音楽の空間展を開催


flyer design: ben graphique

 音楽、映像、絵画など多岐にわたる表現活動を展開してきたアーティスト・金大偉は、2004年12月から2005年1月にかけての年末年始特別イベントとして、東京のふたつのギャラリーを連動させた展示『N 35.41.11,E 139.45.19 〜陰陽〜』を開催いたします。
 会場となるのは浅草のギャラリー・エフと南青山のギャラリー、AKI-EX/ EX・LOUNGE 。戦前・戦後の大衆文化を支えてきた浅草。そして、ファッションやインテリアなど先端の文化を生み出している南青山。今回の展示では、東京の文化拠点であるこのふたつの街が金大偉ディレクションによる特別展示によって結ばれます。
 ふたつのギャラリーを結ぶキーワードは「龍」。AKI-EX/ EX・LOUNGEは、坪庭に龍神ピラミッド社を祭っており、60日に一度、己巳(つちのとみ)の日に奉納音楽ライブを行っています。そして、浅草は、そのシンボルである浅草寺が「金龍山」と呼ばれるように、龍を守り神としている街です。ギャラリー・エフの展示空間は江戸時代に建てられた土蔵。136年におよび、龍の街、浅草を見つめつづけてきた場所です。
 金大偉は、ふたつのギャラリー、そしてジャンルを超えたクリエイターたちとともに、"Project TAO"を立ち上げ、このふたつの文化拠点を結ぶことに挑戦します。
 金大偉はまず、長年、表現の基礎としてきた中国の道教思想(Taoism)をベースに、AKI-EX/ EX・LOUNGE を「陰」、ギャラリー・エフを「陽」と位置づけました。
 ふたつの会場で繰り広げられる展示は、それぞれで成立しながらも、両会場の映像と音楽が調和することでひとつの表現として完成することを目指します。また、展示に加えて、特別制作されたCDの販売や飲食メニュー、イベント、テキストなど多彩な要素によって陰と陽の融合を試みます。
 そして、ふたつの会場を往来する人々が、映像や音楽、食、イベントなど体験することによって浅草と南青山の街が結ばれ、調和していくのです。

2会場で陰と陽が融合する映像作品
【左】ギャラリー・エフ【右】AKI-EX/ EX・LOUNGE


特別寄稿
岡田 光興(神秘学研究家)
タオ<道>という<意識の冒険>へ
人間という精神的宇宙(ミクロコスモス)の超克から、
律動する自然宇宙(マクロコスモス)の体感へ

特別寄稿
松井不二夫(美術評論家)
タオとドラゴン


 

ギャラリー・エフでのイベント

陰陽の茶会』 2005年1月1日(土)0:00〜入場無料
 新年を迎える瞬間にあわせ、金大偉とProject TAOによる映像と音楽のライブパフォーマンス、そして中国茶による茶会を行ないます。
陰陽ライブ』2005年1月16日(日)19:00〜 1800円(要予約)
 金大偉による音と映像のライブ。民俗楽器奏者の暁天とのコラボレーションです。
 特別出演暁天(カリンバ、デジュリドゥ)

 


 

共同開催AKI-EX (アキエックス)/ EX・LOUNGE
" Yin N35.39.46,E139.42.50"

会期2005年12月6日(月)〜2005年1月29日(土)
※12月6日から先行で金大偉の映像展を開始し、ギャラリーエフと連動した展示、CD販売、特別メニューなどは1月4日(火)からスタートします。
開場13:00〜18:30
休廊日曜、祝日(年末年始は12月31日〜1月3日まで休廊)
場所〒107-0062 東京都港区南青山5-4-44
アクセス地下鉄表参道駅より徒歩5分)
ホームページhttp://www.exlounge.com/
問い合わせ電話 03-3499-4254

 


 

AKI-EX/EX-LOUNGE でのイベント

トークイベント『タオイズムと日本の神聖地理学』 12月11日(土) 18:30〜
 今回の特別展の背景となるタオイズムについて金大偉と岡田光興(神秘学研究家)による対談。金大偉によるミニ音楽ライブも行なわれる予定です。
 入場料1,800円(軽食付)
龍神ライブ』12月16日(木) 19:30〜
 AKI-EX主催で定期的に行なわれている龍神への奉納ライブ。三味線奏者の和完が特別参加します。
 入場無料(ドリンクサービスあり)
●Objet Costume, Music & Visual Party 1月22日(土)19:30〜
 樹木などの天然素材を使った服飾デザイナーたちとのコラボレート・ファッションライブ。
 服飾デザイナー●倉岡未来人、臼田拓也 パフォーマンス●大久保有花 他
 入場料1,800円(ドリンク付き)

 


 

2会場のアクセス方法
 ギャラリーエフ(浅草駅)⇔東京メトロ銀座線◎29分⇔AKI-EX (表参道駅)

 


 

特別制作のCDをリリース
展示を構成するもうひとつの要素である音楽を「陰」と「陽」をテーマに制作。それぞれ独立して完成している楽曲が重なりあうことでひとつの音楽として調和します。今回の展示では、この音楽を限定CDとしてを発売いたします。ただし、それぞれの会場で購入できるのは、その会場の音楽だけです。ふたつのギャラリーを巡り、両方のCDを同時に再生すると、陰と陽が調和した音楽として完成します。
 作曲:金大偉、Mahiro(Gallery ef) 参加ミュージシャン:暁天

展示と連動した料理やカクテルを企画
 AKI-EXはEX・LOUNGE(純広東料理レストラン)のアート空間です。そして、ギャラリー・エフもカフェとバーを併設した複合スペースです。会期中、それぞれの会場では、「陰」と「陽」をテーマにしたデザートやドリンクなどを創作。2会場をめぐりながら食の陰陽を味わう企画です。風水のアドバイスと墨絵では、上海と東京を拠点に活動展開するアーティスト、張少俊が特別協力。

映像と音楽によるイベントを開催
会期中、金大偉による映像と音楽によるライブイベントを開催いたします。

 


 

主催金大偉+"Project TAO"
金大偉による特別展『N 35.41.11,E 139.45.19 〜陰陽〜』はジャンルを超えたクリエイターたちの集団、"Project TAO"によって企画、制作、運営されています。

Project TAO
ディレクター金大偉、Mahiro (Gallery ef)、秋薫里(AKI-EX/ EX・LOUNGE)
寄稿岡田光興(神秘学研究家)、松井不二夫(美術評論家)
特別協力暁天(民俗楽器奏者)、張少俊(アーティスト)、一柳風言斎(根付師)
協力ishida(文字CG制作)、いせや、KOZO、佐藤真平、能登康雄 、Hagi(ミュージシャン)
制作スタッフ山口剛/Izumi/Waca/Ayano(Gallery ef)、相澤香織(AKI-EX)、谷口雅雄(ben graphique)、Momo(TAII Project)

 


 

ライブイベント
2.24/ 26
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第3章「日本の伝統芸能」
第4回『総集編』
演奏曲目『日本海開戦』作詞橋本治 作曲友吉鶴心

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心


 

3.10
舞踊鈴木一琥 映像カワチキララ
3.10 10万人のことば


証言田口智子/藤井正昭
衣装加藤志帆
写真ダイトウノウケン

1945年3月10日未明。東東京を襲った空襲によって、下町地区は炎上。壊滅した。
10万人以上と言われる一晩の空襲での死者の多くは老人、女性、こども。
戦闘員とはおよそかけはなれた人々だった。

奇跡的に焼け残った建築物のひとつがここ、浅草・ギャラリーエフである。

その後60年間、東京の空から降るものは雨だけになった。
しかし、世界のあちこちで人々の頭上に爆弾は降り続けている。
東京大空襲は、日本人が世界に発信すべき何かを、世界の人々と共有すべき何かを、私たちに教えてくれる。

今年、3月10日。
ギャラリー・エフにて東京大空襲の被災者達の声と、舞踊家鈴木一琥が競演する一夜は、現代の日本人が知るべき何かを、私たちに見せてくれるはずだ。


photo: Daito Noken

東京大空襲の被災者らのインタビュー音声をコラージュした音が蔵の中に響く。
蔵の中には観客達が思い思いにたたずんでいる。
天井に目を上げると人形のようなものが重力を無視してうずたかく積まれ、吊り下げられている。
その中を鈴木一琥が踊る。
時には人間であり、時には爆弾そのものであるような踊りが展開される。
まるで空襲の一夜を追体験するかのような45分である。

1945年3月19日、東京大空襲から1週間後の浅草。松屋デパートの屋上から撮影された焼け野原の風景。
隅田川に架かる手前が吾妻橋、奥が駒形橋、江戸通りをはさんで中央、円で囲んである建物がギャラリー・エフの土蔵。
『東京空襲を記録する会』より寄贈

鈴木一琥プロフィール
カワチキララプロフィール

関連リンク
2003年3月〜4月にかけて読売新聞に連載された「近代建築の灯」
東京新聞掲載記事

 

アンケートより

蔵での舞踊という難しい舞台への挑戦に拍手。おそらく60周年をすぎれば暫くはメディアも大空襲を取り上げる機会を失っていくでしょう。毎年、このイベントを繰り返し、少しずつでも「ふつう」の人達が知る機会を設けてもらえれば、と思いました。

これから、「3.10」を忘れません。今日の声と、今日の肉体も忘れません。素晴らしい時間をありがとうございました。

自分の両親、祖父母も当時の空襲を体験しており、話は多少聞いていたが、再度改めてその親を持つ自分もより感じて伝えていく必要があると認識しました。感謝いたします。

実際の体験者の語りがまず深く心に響きました。一琥さんの迫力あるパフォーマンス、そして同世代の体験者の祈り、とてもすばらしかったです。

 


 

4.1 - 17
ハイモ・ヴァルナー+マンフレート・エンゲルマイヤー
フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー
Heimo Wallner, Manfred Engelmayr, FUGU and the Cosmic Mumu (FCM)
reciprocity
ドローイング/ミュージック/アニメーション/パフォーマンス

後援オーストリア大使館/文化フォーラム, SKE austro mechana, M.E.L. Kunsthandel

オープニング・パーティー3月31日(木)19:00

 

 

 

ハイモ・ヴァルナー
ドローイング、アニメーション

フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー
サウンド
マンフレート・エンゲルマイヤー: ギター、ボーカル
ハイモ・ヴァルナー: トランペット、ボーカル



OPENING EVENT
3月31日(木)19:00〜 入場無料
OPENING
ハイモ・ヴァルナーのアニメーション作品『メヌード』『毛沢東』の上映と"フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー"のライブ演奏。

特別ゲストHaco(ミュージシャン)
衣装 崔 智香(SQUNABICONA スクナビコナ


SPECIAL EVENT
4月10日(日)19:00〜 入場700円(FCMオリジナル!ドリンク付き)
BY US AT HOME
ハイモとマンフレッドが撮影した自宅写真のスライドショーとミュージック・インプロヴィゼーション。"ブローフィッシュ・アンド・リバーピッグ"によるオーストリアン・ディスコ!

特別ゲスト 小宮 伸二(アーティスト)
衣装 Edwina Hoerl


SPECIAL EVENT
4月17日(日)19:00〜 入場700円(FCMオリジナル!ドリンク付き)
SIGHT SEEING (HEARING)
"フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー" がピンホールカメラで撮影した東京の街の写真をスライドで上映。逆カラオケ "EKOARAK" !ミュージック・インプロヴィゼーションも。

特別ゲスト杉本 拓(ギタリスト)
衣装 櫻井 利彦(SQUNABICONA スクナビコナ


 

ハイモ・ヴァルナー Heimo Wallner
1961年オーストリア・ザルツブルグに生まれる。81年から88年にかけてウィーン芸術アカデミーで学ぶ。アメリカ、メキシコ、東欧などで精力的に展覧会、パフォーマンスを展開する。1988年よりアルプス山脈の麓に位置するシュラッテンベルグ城趾にアトリエを構えるとともに、毎年夏には各国から若手アーティスト約40名ほどを招聘し、アーティスト・イン・レジデンスを実施。そこでの共同生活を通じて制作された作品を発表する機会として、毎年2回のアートフェスティバルを開催。美術だけでなく、様々な実験音楽やダンス、パフォーマンスなどジャンルを超えた表現行為に開かれている。
2004年12月、アメリカでの展覧会

マンフレート・エンゲルマイヤ Manfred Engelmayr
 ミュージシャン、デザイナー。オーストリア・ウィーン在住。ハイモ・ヴァルナーとのユニット "フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー" に加えて、"ブルブル" "グッド・イナフ・フォー・ユー" などのユニットでも活動する。作曲、歌、ギターを担当。またインディペンデントのレコード・レーベル "rasputin records hurenschaedl" の創始者でもある。CDのリリース多数。

フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー FUGU and the Cosmic Mumu (FCM)
 「薄氷の上のポップミュージック」をテーマにした、ハイモとマンフレートによる音楽ユニット。愛や悲しみ、挫折についての歌と即興演奏。ハイモがトランペットとボイスを、マンフレートがギターとボイスを担当する。

 

 オーストリアのアーティスト、ハイモ・ヴァルナー。彼が描き出すキャラクターたちは、私たちが目を背けたくなるような、それでいて無視することのできない人間の本性を暴く。恐怖、強迫観念、希望、欲望。彼は、そのキャラクターたちをとてつもなく早いスピードで描いていく。
「私の頭が勝手に動き出したとき。それがドローイングにとって最高の状態。まわりの環境、連想、連続性、そして感情といった、私の外にあるもの、そして内にあるもののすべてがイメージをもたらしてくれる」
 それは結果として自分の内面をすべてさらけだす行為に近く、滑稽でいて、悲しげで、どこかアイロ二力ルな彼の作品は疑うことなき彼自身であり、人間自身である。
 キャラクターたちは紙の上にとどまらない。陶器やオブジェのような立体物。教会や精神病院の跡地といった特異な空間でのインスタレーション。そして、アニメーションではキャラクターたちが動き出す。

 ハイモは、オーストリア、アルプスの麓にあるシュラッテンベルグという古い城を利用し、毎年夏にアーティスト・イン・レジデンスを開催している。アーティスト・イン・レジデンスとは、ある場所にアーティストたちが住み、その環境のなかで作品を制作することで地域社会とコミュニケーションしていく試みだ。
 ハイモは自然豊かなこの田舎街で、各国からアーティストや音楽家、パフォーマーたちを招聘し、新しい表現の可能性を追求する場を提供している。さらには、毎年2回アート・フェスティバルを主催し、アーティストたちの成果を広く市民に公開するという公共へのアプローチも積極的に行なっているのだ。そこには個のなかに埋没することのみにとらわれがちな芸術活動だけではなく、育成、交流、そして人の在リ方そのものを考える、ハイモ・ヴァルナーの芸術観の根底が垣間見られる。

 

 さらに、ハイモは音楽による表現にも取り組んでいる。今回来日するマンフレート・エンゲルマイヤーとともに結成した"フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー"なるユニットでは、ハイモがトランペットとボーカルを、マンフレートがギターとボーカルを担当する。実験音楽をベースにしたこのユニットは、ライブ活動、ハイモのアニメーションのサウンドトラック、レコード制作なども手がけている。

 今回、ギャラリー・エフにおいて約2週間にわたり開催される展覧会 "reciprocity" では、こういったハイモの多彩ぶりが発揮される。
 ギャラリーの1階では、アニメーション作品を上映。2階では、「壁紙」と称して、空間をドローイングで埋め尽くす。
 きわめて日本的なギャラリー・エフの空間で、ハイモがどんなドローイングを展開するのか? そして、土蔵はハイモのドローイングによってどんな空間に変化するのか?  "reciprocity" は、単なるドローイングの展覧会を超えた日本の伝統的な建造物とのコラボレーションでもあるのだ。

 さらに、ハイモにとってもう一つの重要な表現である音楽も登場する。併設のバーにおいて、"フグ・アンド・ザ・コスミック・ムームー"(略称:FCM)のライブイベントを会期中、3度にわたり開催。ハイモのアニメーション、自宅で撮影した写真、そして東京の街の写真といった映像をバックにFCMの即興演奏が繰り広げられる。Haco(ミュージシャン)、小宮伸二(アーティスト)、杉本拓(ギタリスト)といった多彩なゲストたちがイベントをさらに興味深いものにしてくれるだろう。

 展覧会のタイトルである "reciprocity" は「相互依存」「相互関係」と訳せる。一見、小難しいこの言葉もハイモの活動をみていけば簡単に理解できる。アートと音楽、個人の制作とアーティストたちとの共同活動、内面から湧き上がるイマジネーションと環境のもたらすインスピレーション。ハイモは、両極にある要素をどちらも肯定し、振り子のように行ったり来たりしながら活動を続けているのである。その振幅の幅こそがハイモ・ヴァルナーの原動力なのである。

展示風景
photo: コミヤシンジ

 


FCMによるオープニング・パフォーマンス(3/31)

 

FCMによるライブ・パフォーマンス(4/10)
"BY US AT HOME"
衣装Edwina Hoerl

スペシャル・ゲストコミヤシンジ(アーティスト)(右

衣装Edwina Hoerl

 


 

ライブイベント
4.21/ 23
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第4章「その時歴史が動いた」
第1回『平敦盛』
演奏曲目『敦盛』作詞田中濤外 作曲鶴田錦史

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心

 


 

4.27 - 5.8
ギャラリー・エフ8周年企画展

エフ 地下鉄広告写真

ことの顛末について

 


 

カフェ エフごはんの発表

 


 

エフ 雅体ロゴ発表&投票
雅体』について

「雅体」とは、古代中国の王宮貴族が使用していた文字であり、「雅士(やし)」と呼ばれる宮廷文人たちによって創り出されました。生命の永続と民族繁栄の願いが込められた王国の文化の象徴。芸術家としての個人の表現と、社会との調和のはざまで、雅士たちはまさに命がけで究極の美の哲学を生み出していたのです。
 鳥や魚、草花などの自然の造形と、男性と女性を表す直線と曲線の組み合わせは、北方民族と南方民族では大きく異なり、国家の状態や歴史の発展、取り巻く自然の風景、作者の芸術の素養から心理状態までを含む背景から、とても複雑な変化が見られます。
 生命体として自然が本来持っている美しさの極みと、祈りや願いといった人間の哲学的解釈の極みがひとつになったかたち。これらの表現は、何千年という時代も国境も超えて、人々の心をただ美しさでとらえるのです。
 プロジェクト「字坊」では、滅びてしまったこれらの文字を考古学資料を元に復元し、「現代の雅体」を創作、発表しています。

 


 

1階のデザインについて

 「エフ」は、Family(家族)、Friend(友だち)、Future(未来)、Fruit(実り)などの言葉の頭文字として、また、エフの母体である淵川金属(Fuchikawa)の頭文字として付けた名前です。土蔵を中心とする再生の活動は、1996年、先代の淵川金属社長が突然他界したことによって動き出しました。始めは一つの家族の個人的なできごとであったものが、この「場」を通して血のつながりや国境を超えた人と人とを結びつけ、「家族」として育っていきました。
 このデザインは、「うかんむり」の屋根を伸ばした「富」という字に読めるかもしれません。「富」の中国語発音は「エフ」と似ています。もともと
「富」という漢字は屋根の下に宝の壷がある様子を表しています。家族=宝=みんなが集まれる場所としてのエフ。エフにとっていちばんたいせつなものを表しています。
 壷は同時に男性器も象徴します。男性が屋根を支える家族性の表現には、次世代への扉を遺した先代社長への敬意が込められています。
 エフがオープンして8年、淵川金属は創業80年、江戸時代から建つ土蔵は137年、浅草の地でそれぞれの歴史を育んできました。「門がまえ」にも見えるこの文字から連想される浅草雷門という場所性は、地域に根付き、人々に必要とされることの大切さを表します。
 中央にある「ef」の文字は、文化がここから世界へと広がるように、雲の姿をしています。この字体は明代(1368-1644)のスタイルで、椅子の背などに木彫されていた典型的なものです。エフで椅子に座って文化について語り合いましょう、そしてそれを雲に乗せてアジアから世界へ広げていきましょう、というメッセージが込められています。
 もうひとつのデザインと比べると、時代の近いこちらのスタイルは、文字としての認識性が高いことがわかります。

 


 

2階のデザインについて

 このデザインは、もうひとつのデザインとコンセプトは同じですが、3,500年前の雅体で描かれています。装飾性が強く、伝達の機能よりも美の追求がなされています。メッセージを世界へ運んでいるのは、鳥と蝶の魂です。
 また、『字坊』のロゴと同じスタイルで描かれ、エフと字坊は兄弟であるということを表しています。


字坊ロゴ

 


 

字坊』について
 ギャラリー・エフでは、中国の芸術家であり、文字研究家でもある王超鷹氏とのプロジェクト『字坊(じぼう)』を2003年より本格的に始動しました。このプロジェクトは、中国の古代文字「雅体(みやびたい)」を中心に、表意文字の持つ様々なコミュニケーションの可能性を表現するものです。現在、日本/中国/ヨーロッパをつなぎ、様々なジャンルのアーティストたちとともに活動しています。
 2004年にはオーストリアの陶芸家トーマス・ボーレと雅体との初のコラボレーション作品を上海にて発表、2005年には中国雲南省の少数民族に伝わる象形文字「トンパ文字」とその文化を紹介した書籍『殉情物語〜トンパ文字に秘められた愛の物語』を出版しました。
詳しくは字坊ホームページにて

 


 

5.14/6.5
小林健二 イブニング・トーク
講演会

アーティスト、小林健二。
その創作活動は、美術、音楽、写真、著述、映像、鉱石ラジオなどアーティストという枠では捉えきれません。彼の表現を支えるのは少年の好奇心と探究心。驚きと興奮が導くその興味は、神話、鉱物、道具、宇宙、材料、言葉、香りなどとどまるところを知らず、既成の学問が引いた境界線をゆうゆうと飛び越えてゆきます。
小林健二は、一見無関係に思える事象の断片を物語として結晶させ、かたちとして実現することで、人々が見たことのない、それでいて心の深いところで共感する作品を創りつづけてきました。
『想いとかたちの出会う場所』は、小林健二が触れてきた世界について想いのままに語ってもらう夜です。不定期で開催し、毎回様々なテーマをとりあげてゆきます。第1回のテーマは「好奇心」。作品が生まれるずっとまえに何かが芽生える瞬間についての物語が始ります。
週末の夜、あなたの心を自由にするひとときをお楽しみください。

5月14日と6月5日に開催される講演会に際して、作家小林健二の所蔵する鉱石や道具、著作などを展示(5月11日〜6月5日)。

小林健二

1957年東京新橋田村町に生まれる。
'77年より絵画、立体、インスタレーション、映像、音楽などジャンルにとらわれない自由な表現と、その根底を流れる一貫したメッセージを持つ創作活動で知られる。子供の頃から天文や科学、創作すること、そして神秘なものへの好奇心と興味は深く、模型工作に熱中する日々を送ってきた。作品発表をするようになって以来、その結晶のように現出した表現世界は、神話的なテーマ、太古の夢そして人類の未来へと時間軸を自在に往来し、目に見えない世界や心の奥に潜む風景への郷愁を、見るものに蘇らせる。'90年より少年工作や科学模型などの製作、研究を通じて人間と天然現象との交通を試みる活動もおこなっている。
作品集「AION」(用美社)、「みづいろ」(松明堂極光書房)、「ぼくらの鉱石ラジオ」(筑摩書房)など著書多数。「ぼくらの航空模型(仮題)」「地球に咲くもの」(工作舎)「少年達の工作室」(河出書房新社)なども執筆中。

小林健二

 


 

ライブイベント
7.21/ 23
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第4章「その時歴史が動いた
第3回『日蓮上人』
演奏曲目『伊豆の御難』作詞橋本治 作曲友吉鶴心

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心

 


 

8.5 - 28
鵜養 透
終着駅から 〜広州火車站・1997〜
写真

協賛富士フイルムイメージング株式会社

 80年代末から、中国では数千万の人々が豊かな暮らしを求めて農村部から高度成長に沸く大都市に流れ込み始めた。経済開発区を擁する華南最大の都市・広州は、その最たる都市だった。だが、頼る人も、泊まるところもなく、終着駅・広州駅(広州火車站)の駅前で日々を暮らした人々も数多くいた。その数は5万人にも上り、ピーク時には10万人を超えたと言われている。
 鵜養透は、広州駅前で人々の渦をさまよいながら、夜毎、シャッターを切り続けた。希望とあきらめが交差するざらついた空気のなかには、ただ生きる人間の姿がある。混沌、うつろになりゆく意識。レンズを通過した光は、悪夢のような美しさをフィルムに焼き付けた。
 1998年に『第7回写真新世紀展』で奨励賞を受けたシリーズに未発表作品を加えた約60点で構成。東京と上海を拠点に活動する写真家・鵜養透、初めての個展となる。

終着駅から テキスト:鵜養透

鵜養透(うかいとおる)
1985年 東京大学文学部国文学科卒業
     卒業後、出版社にてマーケティング、商品開発、営業等に従事
1994〜1997年  中国広東省に駐在
1998年  第7回「写真新世紀」展にて奨励賞受賞
2000年 退職しフリーランスに
写真展「LOVE & POWER Borderless World」に参加
(表参道・スパイラル。以後、広島・仙台を巡回)
現在、東京と上海に拠点を設け、写真・文筆等に従事
(主な仕事)
「当代上海老百姓列伝」(『NHKテレビ中国語会話』2002.4月〜2004.3月)
「写真による中国概論」(『NHKテレビ中国語会話』2004.4月〜現在)

 

 


 

9.25 - 10.16
スーザン・ピーチ Susan Pietzsch
Kostbarkeitenーカケガエノナイモノ
コンテンポラリー・ジュエリー
日本におけるドイツ年参加


flyer design: Hiroki Masunari


"Smarties Bra"

 

 スーザン・ピーチは、金や銀といった貴金属の細工技術を習得し、ドイツ北部のウイスマール大学ハイリゲンダム応用美術専門学校で学んだ後にジュエリー・アーティストとしての活動を始めました。その表現は、伝統的なジュエリーから、既成の概念にとわれないコンテンポラリー・ジュエリーやアートの世界へと広がりをみせています。アクセサリー、オブジェ、インスタレーションなど様々な表現方法を用いながらも彼女の視点は一貫しています。それは、日常で見過ごされてしまうささやかなものに、その美しさや意味を見いだすことです。

 彼女が作品のモチーフとするのは、砂糖やチョコレートをはじめ、私たちの日常にあふれるものばかりです。彼女は、その繊細な感覚によって、多くの人々が日々の暮らしのなかで何気なく見落としてしまうものに「美」を発見します。そして、安価で珍しくないものを、ジュエリーやアートオブジェという一般的に高価で貴重だとされているものに置き換えることで、私たちの「当たり前」の感覚を刺激するのです。私たちはふと考えます。貴重なモノっていったい何? 代わり映えのしない毎日のなかにも大切なことが隠されている? 彼女の作品は、観る者の感覚を開き、常識的な価値観に問いかけ、そしてまったく違う視点があることに気づかせてくれるのです。

 スーザン・ピーチは、自分の作品が「アートなのか、それともジュエリーなのか」という問いに対して答えることに興味を示しません。彼女の関心は、絶えず新しいアプローチを開発し、型にはまった概念を壊すことへの挑戦にあります。素材や機能、そして価値を組み替えることによって生まれるオブジェを「ジュエリー」というカテゴリーでくくることに違和感を覚える人々がいることも事実です。しかし、彼女にとってより重要なことは、観る者が驚き、「日常」を正確に見つめ、日々の暮らしのいたるところに存在している「価値あるもの」への発見を促すことなのです。

 日本での初めての個展『Kostbarkeiten ー カケガエノナイモノ』のテーマは「貴重品」です。展示される作品は、砂糖やチョコレートを素材にしたアクセサリーやオブジェ、日本の伝統的な紋様をプリントしたマスク、そしてマンガのキャラクターを磁器によって成型したフィギュアなどです。震災や空襲にも耐えた堅牢な土蔵の中で守られるように展示されるジュエリーやアートオブジェ。でも、それはごくありきたりな素材や使い捨てられてしまうモノをモチーフに作られている。私たちが貴重なものと、そうでないものを線引きする当たり前の感覚を柔らかく刺激する展覧会『Kostbarkeiten ー カケガエノナイモノ』が始ります。

 

"Chupa-Chups/ love edition"
銀に金箔細工をした芯を砂糖で包み込んだ「大人のためのキャンディ」

"robots"
日本のお祭りで売られるハッカパイプの容器を砂糖で成型したオブジェ

展示風景(1階)

展示風景(Studio J)

 


 

公認
日本におけるドイツ年 2005/2006

後援
野村国際文化財団
ifaドイツ対外文化交流研究所
メクレンブルク=フォアポンメルン州文化省
ラントクライス郡バート・ドーベラン市
シュムック2
(順不同)

本展覧会は大阪へ巡回しました
10月27日(木)〜11月12日(土) 会場 Studio J
大阪市西区新町3-14-8 tel /fax 06-6110-8508

 


 

スーザン・ピーチ Susan Pietzsch
 1969年ドイツのザクセン州フライベルグに生まれる。金細工や銀細工の技術を学んだ後、ドイツ北部にあるウイスマール大学ハイリゲンダム応用美術専門学校の宝飾学科を1996年に修了。
 1997年よりジュエリー作品の展覧会を開催。ジュエリーとともにオブジェの制作も手がけ始める。オブジェでは、ジュエリーの持つ「体に身につけるもの」という先入観から離れ、インスタレーションとしての表現方法を選ぶ。装飾物としてよりも、より芸術表現としての意味を重視することを目指している。
 1997年に「シュムック2」を結成し、2001年から継続的に、国際的な展示プログラムを企画している。アーティスト、デザイナー、そして芸術理論家といった異なる文化的背景を持つ人々とともに、ジュエリーの意外性と多様性に焦点を当てながら、様々なコラボレーションを行う。ファインアートと応用アートを行き来する、型にはまらないコンセプトを駆使しながら、ジュエリーの現代的なスタイルについての多面的なイメージを浮き彫りにしている。

スーザンの世界観が一目でわかる必見サイト!
スーザン・ピーチ Susan Pietzsch

スーザンの素顔が『モノ・マガジン』10月16日号 No.526で紹介されています。
P177 mono interesting のコーナーにて

 


 

10.21 - 23
AFS experiment
シカク
〜土蔵の中で体感する夢現つの物語〜

文士を志して上京した小糸順平
数年後、帰郷を決心した順平に見えたモノとは?
夢か現か幻か…目には見えないココロのシカク

03年9月の第一回公演から番外公演を含め今回で4回目となるAFS公演。
形にこだわらず自由なスタイルで「ハジメテミルケシキ」を形成するコンセプトに則り今回は浅草に江戸時代に建てられた土蔵を舞台に20年ぶりの共演となる小田豊を迎え、陰山泰がまた新たな景色を創り出す。脚本は昨年末番外公演の脚本潤色を担当した伊地知ナナコ。土蔵の中で体感する物語。

出演陰山泰 小田豊
福森加織(22日昼/23日夜)
水谷理砂(22日夜/23日昼)

構成/演出陰山泰
伊地知ナナコ

テクニカルアドバイザー吉澤耕一 
舞台美術加藤ちか
音響木下真紀
照明根本諭
衣装奈須久美子 

協力スタートダッシュ 遊機械オフィス Gallery ef ルートワン 
企画/制作AFS

 

 


What's ? AFS
AFS「at first sight 〜ハジメテミルケシキ〜」その名の通り、制作スタッフ、出演者、観客、この企画に関わるすべての人に向けて「ハジメテ」「ミル」「ケシキ」を創り出すためのカンパニー。AFSでは陰山泰が発想した世界を構成、演出、自らも出演し共演者と共に資料収集からワークショップ、エチュード等を経て脚本を構成する。そこに出演者、スタッフ、観客が加わることで「AFS」の公演は成立する。「朗読」「演劇」の形にこだわらず自由なスタイルで「ハジメテミルケシキ」は形成されていく。
「ハジメテミルケシキ」の創造・発想・演出プランのベースは陰山泰であることはかわらないが、AFSの公演成立条件の内、陰山泰の「構成」「演出」「出演」の三つの条件が揃わない場合、また脚本がAFSのオリジナルではない企画は、AFS〜experiment〜実験公演として上演される。
今作品「シカク」は脚本に伊地知が参加する事で「AFS」ではなく「AFS experiment」となる。


陰山泰 Tai Kageyama
早稲田大学社会科学部卒。早稲田演劇研究会出身。卒業後、劇団DA・Mを結成。遊◎機械/全自動シアターを経て現在に至る。
主な舞台として「僕の時間の深呼吸」「ラ・ヴィータ」「ムーンライト」「こわれた玩具」「ムーン・パレス」青山円形劇場プロデュース「ア・ラ・カルト」「銀河鉄道の夜」「ラストチャンスキャバレー」「リトル・ミー」「恋と年金」「ファルスタッフ」「大砲の家」近作として、G2プロデュース「痛くなるまで目に入れろ」「キャンディーズ」、アトリエダンカンプロデュース「女の落語」(鈴木聡 作・演出)他、舞台を中心にテレビ「世にも奇妙な物語」「相棒3rd」、映画「スワロウテイル」「ジョゼと虎と魚たち」「笑いの大学」など映像のフィールドにも活動の場を広げている。03年 自らプロデュースするAFS始動。


小田豊 Yutaka Oda
1971年、早稲田小劇場入団。
岩波ホール公演「トロイアの女」をはじめとする鈴木忠志 構成・演出作品に出演。
劇団「眞空艦」劇団「卍」同人制「桃の会」を経て現在に至る。
主な舞台として「十二人の怒れる男たち」「日本人のへそ」「キル」「坂の上の家」「仮釈放」近作として、新国立劇場「城」(松本修 構成・演出)、「ヤジルシ〜誘われて」(太田省吾 作・演出)、遊園地再生事業団「トーキョー・ボディ」(宮沢章夫 作・演出)、加藤健一事務所「木の皿」(久世龍之介 演出)、北九州芸術劇場プロデュース「ルル」(白井晃 演出)、など多方面の作品で活躍している。次回作は世田谷パブリックシアター”レパートリーの創造”第二弾「ソウル市民」(平田オリザ 作/フレデリック・フィスバック 演出)12月中旬〜末まで。

 


 

ライブイベント
10.27/ 29
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第4章 その時歴史が動いた!
第3回 『織田信長』(講話60分)
演奏曲目「本能寺」 編鶴田錦史

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心

 


 

11.2 - 27
金大偉 + Project TAO
映像
N 35.42.24, E 139.48.00〜陰陽〜

東京から富士山へ、映像空間と人の流れが「道」を生み出す
映像空間プロジェクト 2005 - 2006
龍の道 光の旅


 

 金大偉とProject TAOは、2005年11月から2006年の2月にかけて、東京を縦断し、富士山へと向かう映像空間プロジェクトを始動します。

● 都内3カ所のギャラリーと富士山を望む静岡県で映像空間展を連続開催
● 「タオイズム/道教」をテーマに映像の物語が展開。
  キーワードは「水」「光」「空」「大地」
● 各会場では、映像、音楽、トークなどのライブイベントを企画

 このプロジェクトでは、2005年11月から2006年の1月にかけて、浅草、銀座、南青山の3カ所のギャラリーで映像空間展を連続開催します。2月には富士山を望む静岡県での映像イベントを開催。「タオイズム/道教」をテーマに、自然をモチーフにした映像が、東京の北東から南西へ、そして富士山へと、会場を移しながら物語のように展開していきます。

 


 まず、2005年11月は浅草のギャラリー・エフ。スタートとなるこの空間は「水の間」として位置づけられました。浅草から富士山へと向かう映像空間の流れの誕生を、水の映像で表現します。12月は銀座の風GALLERY。「光の間」として、水から生まれた生命とその輝きを光のイメージによって映像化します。2005年の年末から2006年の1月にかけては南青山のAKI-EX / EX・LOUNGEにおいて「空の間」が展開されます。光はさらなるエネルギー体となり、空を駆けめぐります。そして2月には、この映像の物語の最終章「大地の宴」として、富士山を望む静岡県での映像と音楽によるイベントが企画されています。
 会期中、それぞれのギャラリーでは、金大偉とプロジェクトに賛同した表現者たちによる映像、音楽、トークなどの様々なライブイベントが行われます。
 2005年から2006年、一滴の水から生まれた龍が、光を放ちながら空を舞い、そして大地へと還っていく。金大偉とProject TAOは、移動する映像空間とそれを体験する人々の流れによって、東京を縦断し、富士山へと向かう「道」を生み出します。

 

[金大偉さんの事] text by 毛利臣男(空間演出家)

その風貌からは、フ〜っと宙を歩き出す…そんな不思議な妖精を感じます。
今回は音楽、映像、絵…と活躍する金大偉が三つのギャラリーを繋げた展覧会を開催します。
今秋、「モーリの色彩空間Part 9九美神」展で彼は「女神」を演じました。
僕の演出、振付けでしたが、「女神」のマスクを通して彼の芸術心が現われ、その動作と演奏の中にタオイズム(道教)を感じました。どんなものにも挑戦する彼の姿勢が好きです。その世界は決して荒々しいものではなく、穏やかで、それでいて強いバネのように楽しく弾む…そんな素晴らしい創造だからです。
アジアをベースに次から次へと生まれる彼の芸術はいつも新鮮です。

 

 

風 GALLERY
N 35.40.18, E 139. 46. 11 〜陰陽〜

2005年 12月1日(木)〜21日(水)
13:00〜19:00/日・祝日休廊

入場無料/特別イベント時有料

東京都中央区銀座1-4-9 第1田村ビル2F
tel 03-3563-6066
JR有楽町駅より徒歩2分、東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅より徒歩1分
http://www.kazegallery.com

特別イベント
金大偉 空間ヒーリングライブ『IYASHI』
12月15日(木)20:00〜
癒しの空間としての映像と音楽によるライブパフォーマンス。年末のこの時期、癒されたいことをいっぱい抱える都会人のためにおくるヒーリング・タイム。限定20名様だけの特別空間。1ドリンク付きで1,800円を予定。

 

 

 

AKI-EX / EX・LOUNGE
N 35.39.33, E 139.43.00〜陰陽〜

12月28日(水)〜2006年 1月28日(土)
13:00〜18:30/日・祝日休廊
12月31日〜1月3日休廊

入場無料/特別イベント時有料

東京都港区南青山5-4-44 EX・ LOUNGE内
tel 03-3499-4254
東京メトロ表参道駅より徒歩5分
http://www.exlounge.com

特別イベント
1月21日(土) トークライブ
出演:金大偉、岡田光興(神秘学研究家)
1月28日(土) 映像音楽ライブ
出演:金大偉、原郷界山(尺八)、ほか

 

 

 

 

 

丸平ギャラリー
N 35.21.34, E 138.44.01〜陰陽〜

2006年 3月8日(水)19日(土)
11:00〜19:00/火曜休廊
入場無料/特別イベント時有料

ギャラリー丸平(おにぎりCAFE丸平内)
静岡県三島市中央町4ー16 
Tel/Fax 055-975-0068
http://maruhei.exblog.jp/

特別イベント
3月11日(土)19:30〜(開場19:00)
スペシャル音楽ライブ「大地の宴」&パーティー
出演:金 大偉(keyほか)、山平憲嗣(二胡ほか)
料金:2,000円(ドリンク付)

 

 


Project TAO 〜龍とタオイズムが生んだ必然性〜

 2003年1月1日午前零時。金大偉は、浅草のギャラリー・エフとの共同企画による展覧会、『TAO〜陰陽的"相"』をスタートさせました。テーマは「タオイズム(道教)」。タオイズムは、生と死、光と影、男と女といった対極にある事象を「陰」と「陽」に位置づけながらも、その両方を受け入れることによって、すべてを循環させていくことを説いた中国の思想です。展覧会では、枯れゆく水仙の静寂と色彩豊かな自然の活力を対比させた映像空間、正反対の環境で自生した2種類の岩茶を味わう中国茶会などで、陰と陽の融合を表現しました。
 そして、2004年秋、金大偉は、ギャラリー・エフと南青山のAKI-EX / EX・LOUNGEとともにProject TAOを立ち上げ、2005年1月に映像空間展『N 35.41.11, E 139. 45. 19〜陰陽〜』を開催しました。プロジェクトは、東京の南西と北東にあるふたつのギャラリーを「陰」と「陽」と位置づけ、2会場で一対となる映像と音楽を同時展示することで、およそ10キロ離れたふたつの空間を融合させることを目指しました。
 プロジェクトの企画が進行していくうちに、様々な奇遇が浮かび上がりました。まず、「龍」という共通点。AKI-EXは、坪庭に龍神ピラミッドを祭り、60日に一度奉納ライブを行っています。一方ギャラリー・エフのある浅草は、そのシンボルである浅草寺が「金龍山」と呼ばれるように、龍を守り神としている街です。
 もう一つの奇遇、それは、2会場のちょうど中間点が、東京のエネルギーの中心とも言える皇居だったことです。オープンした時期も、事情もまったく異なるふたつのギャラリーは、金大偉という縁で結ばれたとき、必然の関係にあったことを確認したのです。金大偉はタオイズムについてこう語ります。

陰陽の相は、人々が意識しようとしまいとも、
すでに私たちの見えない意識の中に潜在している。
精神の光のように、魂の響きのように、
現在と未来と過去のあらゆる姿をつなげてくれる。

 2005年から2006年のプロジェクトを始動するにあたり、金大偉は、またひとつ、新しい場所、必然の場所を呼び寄せました。彼は、今年4月にオープンしたばかりの「風 GALLERY」と出会います。このギャラリーの場所は、昨年の2会場の中間地である皇居にほど近い銀座。風 GALLERYがプロジェクトへの参加を決めたことにより、浅草、銀座、青山という東京の北東から南西を結ぶラインが、龍とタオイズムによって導かれるように結ばれることになったのです。そして、2006年2月には、日本の聖地、龍脈の中心とも言うべき富士山を望む静岡県での映像イベントも企画されています。
 タオイズムや龍といったアジアの思想に背景を置きながら、アートによって場所をつなぎ、それを体験する観客が移動していくことにより、私たちがふだん意識することのない土地や人の関係性を浮かび上がらせる。それが、Project TAO のコンセプトです。

 金大偉 プロフィール

Project TAO/プロジェクト・タオ
ディレクター:金大偉、Mahiro (Gallery ef)、森下和彦(風 GALLERY)、秋薫里(AKI-EX/ EX・LOUNGE)
制作:山口剛・Izumi・Waca・Ayano(Gallery ef)、相澤香織(AKI-EX)
テキスト:岡田光興(神秘学研究家)、松井不二夫(美術評論家)
特別協力:張少俊(アーティスト)、王超鷹(文字研究家)、木村菊雄(富士山写真提供)、Kozo(ビジュアリスト)、Ishidai (ビジュアリスト)、山口晃生、他


金大偉 映像ライブ 11月11日(金)19:00〜
ギャラリーに併設したバーで、金大偉によるビジュアル・ライブを開催。


 

月夜の森 4
毎年恒例の音楽会月間、今年は冬の森で開催です。


イメージ画山田秀寿

公演スケジュール

4日(日)
14:00/18:00

天鼓(民族音楽)
暁天 + パーカッション花
ゲスト岡山守治(ホーメイ)

世界各地の民俗楽器を自在に操りながら心地よい音を紡ぎだすユニット、天鼓。
カリンバ、二胡、マリンバといった楽器を自ら製作し、演奏する暁天。
時に激しく、時に繊細に、ビートを奏でるPercussion花。
音の国境にとらわれない独自の音世界は世代を問わず聴く者をやさしい気持ちにしてくれます。
ゲスト参加のホーメイは、声を出しながら高音の倍音を同時に出す
モンゴルの伝統的で独特な演奏法です。

入場2,800円

天鼓プロフィール

 

8日(木)
19:30

ジャズ
三木俊雄(サックス)+上村信(ベース)

日本のジャズシーンを代表するトッププレーヤーの2人が、テナーサックスとウッド ベースで語り合うアコースティックデュオ。蔵の中で響きあうジャズの息遣いをお楽しみ下さい。

入場2,500円
定員40名(バーとの行き来が可能です)

三木俊雄 上村信 プロフィール

 

11日(日)
14:00

雲龍(笛)
CD『遮那 水のながれ光の如く』発売記念

11月15日shana records より待望の発売となった
CD『遮那』に登場する笛
ひとつひとつにまつわるお話とともに演奏

入場2,000円

音ではない、音の世界。
魂という存在が、もっとも純粋に漂う、音の世界。
そこにあるものは、たおやかな生命と、美しい時の流れです。
出雲、伊勢、熊野・・。これまで雲龍は、この国の清らかな地で奉納演奏を行ってきました。
そうして奏でられた笛の音は、わたしたちのこころと宇宙はつながっているということを、
静かに思いおこさせてくれます。
「遮那 水のながれ光の如く」。
音づくりに細野晴臣氏を迎え、2年の歳月をかけて完成した雲龍の音の世界が、
この秋、CDとなって発売されます。

雲龍 プロフィール

 

14日(水)
19:30

 

友吉鶴心(薩摩琵琶)
講話(60分)『忠臣蔵』

季節ごとに開催している、琵琶の世界に触れる会「花一看」別回。
赤穂浪士討ち入りの夜に聴く、義士たちの足音。

演奏曲目『雪晴れ』
作詞望月唖江 作曲鶴田錦史

討ち入りを終え泉岳寺へと向かう義士たちの頭上には、
澄み切った雪晴れの青空が輝いていた。

入場2,500円

友吉鶴心(ともよし かくしん)プロフィール

 

15日(木)
19:30

Unit-S.E.
向後隆(エスラジ)+辰野基康(シタール)初登場!
"IMPRESSION!"

それぞれ、長年独自の音楽活動を続けている
20年来の友の辰野基康と向後 隆が
インド弦楽器SitarとEsrajのDUOを開始しました。民族音楽の素朴で心暖まる調べや
古典音楽をベースにしたオリジナル曲などを
印象的で心地良い音色で演奏します。

入場2,500円

Unit-S.E. プロフィール

 

18日(日)
18:00

木津茂理(民謡)初登場!

初めてのソロライブ、初めての蔵の中、ということで
木津さんが選んだプログラムは、声を張り上げることなく
おばあちゃんが囲炉裏端でうたっているような民謡、
子守唄や機織り唄など、女性の唄を集めたものです。
蔵の空気に包まれ、静かに響く歌声をお楽しみください。

入場2,000円

木津茂理 プロフィール

 

  

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