ENGLISH

2011年の公演案内はこちらです >>

3.10 10 万人のことば
ダンス|鈴木一琥 音声構成|カワチキララ

2010年 3月9日(火)
3月10日(水
19:00
15:00
19:00
 
受付終了
受付終了
 

入場|3,000円(1ドリンク付) 定員|各回30名

NHK『おはよう日本』にて特集(3月10日放映)


photo |ダイトウノウケン
2005年以来、毎年同じ日付、同じ場所で開催されているダンス公演がある。
密室の板の間に30名限定の観客、体が触れるほどのわずかなスペースで踊るダンサー、鈴木一琥。
生きる者としての踊り手の肉体は、暗闇に鼓動を放ちまっすぐに極限へと突き進む。
肉体の限界を越え、精神で時空を越え、それでもけっしてたどり着くことのできないものへと、ただ一心に手を伸ばし、しがみつく。
それはこの世に発せられることなく失われた「ことば」である。

この世の誰一人として語ることのできない「ことば」。その存在のリアリティを縁取る作業はアーティスト、カワチキララの手による。
二人のアーティストは、65年前のある夜に失われた「ことば」を作品化し、「場」を介して共有し、体験を可能にする。
それは、真に失われてはならない「事実」の破片を集め、現在に引き寄せるための試みであり、永遠に完成することのないコラージュである。

1945年3月10日未明。一夜にして10万人の命が奪われた東京大空襲。その猛火を耐え抜いた江戸時代建立の土蔵で、私たちはその夜に身を置く。

カワチがインタビューを重ねて抽出した生存者の証言は、貧しく息苦しい戦時下における人々のささやかにあたたかい日常を描き出す。
誰もが無邪気な下町の子どもだった。
明日もいっしょに遊べると思っていた。
鈴木一琥が肉体に纏うものは、生と死の境界線までをも焼き尽くした炎によって永遠に失われた「ことば」。そして、65年の苦しみを生き抜いて来た人々の現在の「ことば」である。

3月10日、浅草。私たちはここで、世界の認識を更新する。
今この瞬間にも人々の頭上に降り続ける爆弾の雨。この作品は、世界と、その未来へと向けた創造である。

私は人間の体が過去を受けつぎ今につながっていることをダンスで伝えられると信じ、願い、踊っている。
鈴木一琥(「日本経済新聞」 2008 年2月 28 日朝刊文化欄への寄稿より抜粋)

原初の儀式のような祈りが心の奥底に触れ、揺さぶる。(ジャパンタイムズ 井内千穂)>>

 

今年は新たな試みとして公開稽古を行います。「場」を呼吸しながら3月10日当夜へと向かって形作られてゆく公演を、出演者、スタッフとともに体験してみてください。

公開稽古3月6日(土)/7日(日)13:00〜19:00[見学無料]

稽古の進行が優先されます。休んでいる時もあるかもしれませんが、お気軽に覗いてみてください。
見学スペースはギャラリー内のみです。混雑時は譲り合って見学してください。
カフェは通常営業しておりますのでご着席の際はご注文をお願いいたします。

 

企画制作/主催|鈴木一琥、カワチキララ 制作/共催|ギャラリー・エフ
衣装|カワチキララ 照明|テトラロジックスタジオ 音響操作|加藤淳一 写真|ダイトウノウケン
協力|東京大空襲・戦災資料センター
証言|田口智子、藤井正昭、長瀬静子、高橋千恵子、辻博也、進藤貞子、橋本代志子、二瓶治代、亀谷敏子(インタビュー順、敬称略)


photo | ダイトウノウケン(2008年の公演より)

 

鈴木一琥(すずきいっこ/ダンサー)
1972年、東京生まれ。立命館大学在学中の演劇活動から、卒業後はダンス表現に向かう。日本の伝統芸能・神楽を学びつつ、舞踊の根源を探求している。これまでに伝統・現代を問わずインドネシア、韓国、イタリアなど世界各地で公演やワークショップを行う。2008年には、ニュージーランドのMAUダンスシアターカンパニーの作品『TEMPEST ll』に出演、欧州5カ国を巡るツアーにも参加した。

カワチキララ (アーティスト)
1971年、千葉生まれ。94年、米・メリーランド美術学院油絵科卒業。2003年、9.11と反戦をテーマとした「Crane Project 〜つるがおるもの〜」にて「第5回ロレアル色と科学の芸術賞」大賞を最年少で受賞。国立科学博物館で講義を行うなど、科学と美術の融合、歴史・反戦・進化などをキーワードに映像を使うインスタレーションからドローイングまで、多岐にわたるアート作品を制作している。

ギャラリー・エフ
江戸時代末の慶応4年(1868)に建立された浅草・雷門の土蔵を再生し、1997年にアートスペースとしてオープン。関東大震災、東京大空襲、そして都市再開発を生き延びた建物を保存・活用しながら、国内外のアーティストの展覧会や演奏会、パフォーマンスなど開催している。1998年有形登録文化財登録。

 

 

1945年3月19日、東京大空襲から1週間後の浅草。松屋デパートの屋上から撮影された焼け野原の風景。 隅田川に架かる手前が吾妻橋、奥が駒形橋、江戸通りをはさんで中央、円で囲んである建物がギャラリー・エフの土蔵。
『東京空襲を記録する会』より寄贈

同じ位置より2006年に撮影

過去の公演より
2009.3.10
2008.3.10
2007.3.10
2006.3.10
2005.3.10