2003

1.1 - 2.3
金大偉+Gallery ef
TAO〜陰陽的"相" Yin-yang de Xian

音と映像によるインスタレーション


flyer design: ben graphique

 

光と影、天と地、火と水、内と外、表と裏、そして男と女。私たちを取りまくのものはすべて、対極にある現象や価値のバランスの上に成り立っています。紀元前6世紀ごろ中国で生まれた思想、「道教(TAOISM)」は、こういった物事にある対極を「陰」と「陽」に位置づけながらも、分け隔てることなくその両方を受け入れることを説きました。物事の両極を受け入れることで見えてくるもう一つの真実。すべては一体であり、循環しているのです。

芸術、文学、科学、医学、農業、工芸、庭園といった中国 の文化は、道教の思想に基づいています。これら文化や学問 は、長い歴史を通じて東アジア諸国に広がり、日本にも大きな影響を与えました。例えば、道教とともに発展してきた茶の文化は、日本で茶道として体系化され、日本の精神文化に大きな影響を与えました。また、21世紀の今日、中国茶がブームになっているのは興味深いことです。どれだけ時代が進もうと、またどれほど西洋的な思想や文化に影響されようとも、私たち、東アジアの価値観の根底には道教の思想が流 れているのです。

2003年1月1日午前0時にスタートする展示「TAO」では、 アーティストの金大偉とギャラリー・エフが、道教をテーマに空間インスタレーションを創出します。金大偉は、映像作 品『アンドロジナス(両性具有)』など、これまで映像や絵 画、音楽を通じて物事にある二面性と、その融合を追求して きたアーティストです。
展示が行われるのは江戸時代末期に 建てられた土蔵。静謐な空気の流れる土蔵では、道教の発展と密接な関係にある「茶」を精神的に楽しむ空間、そして映像や光、オブジェ、音など現代的な手法によって創出される道教の世界が展開されます。また、併設のカフェでは貴重な中国茶の限定販売も行います。

展示風景
上)1階 映像による掛け軸
下)2階 陰と陽の融合した映像


金大偉(きん たいい)プロフィール

「アーティストを続けていくとただの人間に到達できる。
 だからぼくはアートを通して自分を語ります。 肩書きなど必要ないのです」(SWITCH 1997.10)

中国人の父と日本人の母の間に生まれた金大偉(KIN TAII)は、 15歳で来日して以来、「統合」を求めて表現活動をしてきました。 日本に帰化してからも「金大偉」という名前をつらぬきながら、 音楽にとどまらず、映像そして絵画によって中国を源流とするアジ ア的な世界観を表現しています。ライブやCD、個展そして彼独自 の「統合アートイベント」を通じて数多くの人々の支持を得てきま した。


1964年、中国・撫順市に生まれる。1979年来日。多摩美術大学 を卒業。自然との共鳴感覚や精神内外部の調和を重視しつつ、先端テクノロジーなどを駆使しながら、独自の技法と多彩なイマジネーションによって音楽、映像、美術などの世界を統合的に表現。近年はアジアをテーマに数多くの音楽や映像作品を創作するほか、美術展、映像空間展示、国内外にて音楽コンサートやイベントを行い、様々な要素を融合した斬新なアート空間を創出し、各分野において高い評価を受けている。 音楽CD『Harmony』(96)『Waterland』(97)『Hong Kong』(97)『Terra Illuminata』(98)『新・中国紀行』(00)『龍・DRAGON』(00)『Floating Illusion』(02)をリリース。2003年に、中国雲南省ナシ族をテーマにテクノロジーと融合する大作『TOMPA』を発売。


金大偉ホームページ

WORK with Gallery ef
浮遊と幻視 ('98)
Millennium Garden ('99-'00)
Stream of The Wind, Feeling of The Wind ('02)
LiVE TATTOO SHOW ('02)

イベント笙ソロライブ
盤渉調調子(ばんしきちょうちょうし)

出演田島和枝  1月18日(土)

道教に強い影響を受けた雅楽器の笙と竿(う)により、 古から伝わる冬の調べ『盤渉調調子』の全曲を演奏します。 光の音を奏でる笙と太古の海を思わせる竿の音色を通して、 古代の冬の風景や空気感をご堪能ください。

※「う」について※
表示されない漢字のため、ここでは「竿」と表記していますが、正しくはたけかんむりの下が「干」ではなく「于」です。

 

 

田島和枝プロフィール

笙を豊英秋(宮内庁楽部楽長補)宮田まゆみ、石川高に、雅楽 合奏を芝祐靖の各氏に師事。国立劇場雅楽公演、八ヶ岳高原音 楽祭、タングルウッド音楽祭、ウィーン現代音楽際等で演奏する。ダンスとのコラボレーションでパリ連続公演やハンガリー 公演に参加するなど、笙の響きを活かした意欲的な演奏活動を 行っている。『伶楽舎』に所属。

 

イベント陰陽の茶会

1月1日0:00AM、年越しの『陰陽の茶会』でスタートした『TAO』。 金大偉のビジュアルと音楽が陰と陽の世界観を浮かび上がらせるなか、福建省武夷山の岩茶「不見天」と「半天陽」を楽しみました。

「不見天」は谷底に生え、「半天腰」は岩山のてっぺんに生えます。どちらも日がまったく当たらない、当たりすぎる、というお茶の自生には適さない環境ながらも、「不見天」はほんのわずかの日照時間に栄養をたくわえ、「半天腰」は影を作り出す岩山にさえぎられ、その葉を伸ばします。

中国では古来から、男(陽)女(陰)の性交が陰と陽のエネルギーを交歓する最高の方法として考えられていました。貴族たちは、陰と陽のエネルギーを体に取り入れるため、男女の性交の図が描かれた茶杯でお茶を飲みました。『陰陽の茶会』では、それらの清王朝時代の茶杯で、陰と陽との融合を見せるかのような二つのお茶を交互に味わいました。


ライブイベント
2.20/ 22
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第4回
テーマ「維新に花咲く音楽 リーダーたちの楽器〜幕末から明治へ」
演奏曲目『那須譽一』『勧進帳』

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心


3.21-22
椿座公演
 ・
(ここ)
言葉語り

言葉の美しさ、言葉の持つ力、命を削りつむがれた言葉たちを声に出す。
耳で聴く。この場所に必要な物語をささげる。言霊が空間を満たす。
場所と時間が交わる『・』(ここ)で、何かがはじまる。


ライブイベント
4.20
田島和枝
雙調調子
(そうぢょうちょうし)
笙ソロコンサート

雅楽器の笙と竿により、古から伝わる春の調べ『雙調調子』の全曲を演奏

演目解説
約3000年前より、中国をはじめアジア各地で演奏されていた楽器、笙(しょう)は、5〜6世紀に日本へ伝来しました。以来、楽器の構造や奏法を変えることなく、現代へと受け継がれています。その形は鳳凰が羽を休めている姿を表していると言われています。 雅楽の合奏ではあまり目立つことのない笙ですが、平安時代には独奏されることも多かったようです。笙の独奏曲ともいうべき「調子」は、道教や陰陽五行といった思想と密接に結びつき、6種類ある調子はそれぞれに方角や色、そして季節が決まっています。
田島和枝による笙のソロコンサートは、季節ごとの調子を全て演奏するという試みです。今回は春の調子である「雙調調子」を演奏します。清々しい、透き通るようなメロディは、古の人々が写し取った春の風景をその音色によって甦らせてくれます。 加えて、笙の倍ぐらいの大きさの「竿(う)」という楽器も登場します。この竿は、笙と同じ頃に日本に伝わったのですが、1000年以上にわたり途絶え、近年になって復元されました。笙が光の音であるならば、竿は太古の海のようにやさしく、やわらかく響く音を奏でます。 笙によって天空から光の音が舞い降り、そして、地球の奥深からわき上がる竿の音と出会う。太古から未来へ。音が織りなす時空を超えた空間に、身をゆだねるひとときです。

※「う」について※
表示されない漢字のため、ここでは「竿」と表記していますが、正しくはたけかんむりの下が「干」ではなく「于」です。


ライブイベント
5.8/ 10
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

再び春を迎え、これからの『花一看』では、季節ごとの日本の心、日本の美学についての講話、曲の解説(約1時間)と、演奏(約30分)をお楽しみいただきます。

第5回
テーマ「神を迎える正月から花見の頃まで」
演奏曲目『本能寺』(編曲/鶴田錦史)

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心



Gallery ef 6周年企画展
4.28 - 5.25
ローマン・シャイドル
Roman Scheidl
粒子の夢
絵画

特別後援オーストリア大使館/文化フォーラム


7.14 『古代ヘブライの言霊』イスラエル
コンサート

出演ルツ・ヴァイダー・マガン Ruth Wieder Magan/ヴィクトリア・ハナ Victoria Hanna
   初来日公演

   主催劇団アンゲルス
企画/演出岡井直道(劇団アンゲルス代表)
 制作協力ギャラリー・エフ
   協力イスラエル大使館

世界を舞台に活動を続ける女性ヴォーカリスト、 ルツ・ヴァイダー・マガンヴィクトリア・ハナ。 イスラエル出身の二人は、そのルーツである古代ヘブライ語を操りながら、 自らの肉体を媒体とし、言葉の意味を超えたエネルギーで空間を満たす。

二人が放つ未知の言葉が重なり合うとき、聴く者たちは、心の奥底に眠る、人間が太古の昔から行なってきた表現のルーツを体験する。

会場は江戸末期に建てられた土蔵を含む複合空間。 関東大震災と東京大空襲をくぐりぬけ、135年にわたり 人々の生をみつめ続けてきた静謐な空間に抱かれて、 古代ヘブライの言霊が響く。

ルツ・ヴァイダー・マガン

声楽家
ユダヤの伝統的な音楽と宗教原典の音声様式を研究しながら、古代ヘブライ語と現代の音楽や劇とを融合する女性声楽家、作曲家。ロンドン・トリナティー専門 大学声楽課を修了した後、フランスでの実験的な声楽トレーニングや聖歌声楽家 のもとでのトレーニングを経て、独自の声楽スタイルを構築する。 現在、イスラエルを拠点に、北米や欧州、アジアの各地で公演を行なう。ヴィク トリア・ハナとのオリジナルユニット"Mother Tongues"(「母なる言葉」の意) では、女性二人のヴォーカルと弦楽器(チェロ、ビオラ)が深く絡み、重なり合い 人間の表現の根元を感じさせる音と言語をつくり出している。 CDに"ayin Zoher-Songs to the invisible God"(1999)がある。 Theatre Company Jerusalem (TCJ)設立メンバー/共同管理者。

ヴィクトリア・ハナ

声楽家
ニサンナティブ・アクティング・スタジオ(イスラエル)に在籍後、イスラエル はもとより欧州、北米、南米、中央アジアなど世界を舞台として音楽活動を展開 している女性声楽家。また映画に楽曲やパフォーマンスを提供するなど、その活動はステージに止まらない。2000年には古典インド声楽のトレーニングを受ける。またトランスなど現代音楽とボーカルを融合させた作品も創作、発表している。 ルツ・ヴァイダー・マガンら女性声楽家たちとのコラボレーションも積極的に行なう。


8.31 - 9.23
LIVE MONTH

月夜の森 2


image photo: Hideki Shiozawa

慶応4年、今から135年前に建てられた土の蔵で奏でられる、暮れゆく夏の音の宴。
月夜の森』は、都会のビルの谷間にひっそりとたたずむ異空間の中で行われるスペシャル・ライブです。
蔵そのものが楽器となり、アーティストは魂と音を響かせ合う。アコースティック演奏を中心に、民族楽器から伝統楽器まで、様々な宴が開かれる月夜の森で、土と木と音のハーモニー、奏者の息づかいまでをお楽しみください。


L) 9月7日(日)ヨーロッパ・バロック音楽/デュオ・リュタン
R) 9月8日(月)ジャズ/三木俊雄・上村信


田島和枝 笙ソロライブ
黄鐘調調子(おうしきちょうちょうし)

雅楽器の笙と竿により、古から伝わる夏の調べ『黄鐘調調子』の全曲を演奏

日時8月31日(日)14:00/18:00 ※演奏前に、笙と深く関わりのある中国茶をカフェにてお楽しみいただきます
入場2,500円(中国茶つき)
定員各回20名

笙(しょう)ってどんな楽器?
約3000年前より、中国をはじめアジア各地で演奏されていた楽器、笙は、 5〜6世紀に日本へ伝来しました。以来、楽器の構造や奏法を変えることなく、 現代へと受け継がれています。その形は鳳凰が羽を休めている姿を表している と言われています。雅楽の合奏ではあまり目立つことのない笙ですが、平安時 代には独奏されることも多かったようです。

今回は夏の調子、黄鐘調調子を演奏
笙の独奏曲ともいうべき「調子」は、道教や陰陽五行といった思想と密接に結 びいています。6種類ある調子にはそれぞれ方角や色、そして季節が決まっています。今回は夏の調子である『黄鐘調調子(おうしきちょうちょうし)』を演奏します。色は赤。そして火を意味する調子です。その力強いシンボルとは 裏腹に、笙によって奏でられる黄鐘調子のメロディーは、低い音を基調とした、柔らかいものです。 暮れゆく夏への愛おしさ。やがてくる空高き秋を望みながら捨て切れぬ夏への想い。いにしえの人々が感じ、そして音の世界で描いた「夏の姿」を、笙の響きによって甦らせてくれます。

復刻楽器、竿の音色
加えて、笙の倍ぐらいの大きさの「竿(う)」という楽器も登場します。この竿は、笙と同じ頃に日本に伝わったのですが、1000年以上にわたり途絶え、 近年になって復元されました。笙が光の音であるならば、竿は太古の海のよう にやさしく、やわらかく響く音を奏でます。笙によって天空から光の音が舞い降り、そして、地球の奥からわき上がる竿の音と出会う。太古から未来へ。 音が織りなす時空を超えた空間に、身をゆだねるひとときです。

「う」について※
表示されない漢字のため、ここでは「竿」と表記していますが、正しくはたけかんむりの下が「干」ではなく「于」です。

笙奏者、田島和枝
笙を豊英秋(宮内庁楽部楽長補)宮田まゆみ、石川高に、雅楽合奏を芝祐靖の 各氏に師事。国立劇場雅楽公演、八ヶ岳高原音 楽祭、タングルウッド音楽祭、 ウィーン現代音楽祭等で演奏する。ダンスとのコラボレーションでパリ連続公 演やハンガリー公演に参加するなど、笙の響きを活かした意欲的な演奏活動を 行っている。『伶楽舎』に所属。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/musubi-hime/


友吉鶴心 琵琶の世界に触れる会
花一看
第6回
テーマ「花見から夏越の大祓まで」

6世紀半ば、仏教とともに海を渡り日本に伝来した琵琶。長い歴史のなかで、琵琶は音色を変え、姿を変えながら日本人の心を奏でてきました。『花一看』は、薩摩琵琶奏者・友吉鶴心とともに、季節ごとの日本の心、そして美しさを見つめていきます。

日時9月4日(木)6日(土)15:30/19:30
入場2,500円
定員各回20名

演奏曲目『俊寛』--- 鶴田錦史編集
平家打倒のクーデターを企てた罪で島流しになる俊寛。愛する妻と再び会う日を胸に、過酷な流罪生活を耐える。一年後、恩赦の知らせを運んできた船。しかしそのリストに俊寛の名はなかった・・・

友吉鶴心プロフィール
65年浅草に生まれる。幼いときより様々な伝統芸能を学ぶ。世界的な音楽家でも ある薩摩琵琶奏者・鶴田錦史に師事。祖父の名跡を世襲する。91年、薩摩琵琶研 修会『花一期』を始める。96年、第33回日本琵琶コンクール第一位入賞にとも ない、文部大臣奨励賞、日本送協会会長賞など数々の賞を受賞する。 伝わるものを正しく守り、新しいものを創り出す姿勢を志し、国立劇場主催公演、 国際交流基金主催海外公演のほか、ロックやポップスなどとジャンルを越えたセッションを重ね、国内外の様々な舞台で活躍中。02年よりギャラリー・エフにて薩摩琵琶と日本の伝統により親しむ機会として『花一看』を開始。

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心


デュオ・リュタン
木村夫美/ヴァージナル 朝倉未来良/フルート
蔵の音・時空を超え  European baroque music in Gallery ef
バロック音楽

ヴァージナルは16、17世紀に栄えた直方体の撥弦鍵盤楽器。 フェルメールの絵にもしばしば登場する美しく、力強く、深い音色を持った楽器。フルートも当時の物がそのまま使われる。400年の昔(江戸開府の頃)西洋の人々は何を感じ、何を歌い、どう生きていたのか。それは今とは大きく違いしかも全く同じであったかもしれない。音は消え去るがそれゆえに自由に全てを超えていく。

日時9月7日(日)14:00/18:00
入場2,800円
定員各回20名

曲目W.バード/マイ・レディ・ネヴェルス・グラウンド ウィロビー卿の帰還
   J.P.スヴェーリンク/わが若き命終りぬ 半音階的幻想曲
   J.J.ファン・エイク/美しいダフネ
   G.フレスコヴァルディ/カンツォン 他

デュオ・リュタン プロフィール
オリジナル楽器を用いたフルートとチェンバロ、ヴァージナルの二重奏。1993年 より東京を中心とした全国各地で活動している。歴史的楽器の特性を活かし、16〜18世紀の作品を中心に、それらの良さを親しみやすく聴衆とともに分かち合うことを信 条としている。「リュタン」とはフランス・ブルターニュ地方にいるとされる、いたず ら好きな妖精。(東北地方の「ざしきわらし」に良く似ている)

木村 夫美(ヴァージナル)
京都生まれ。5歳よりピアノを始め、10歳のとき桐朋学園大学附属子供のための音楽 教室に入室。中学生の頃からチェンバロの持つ音色に惹かれ、17歳のときにチェンバロ に転向。ピアノを白樺山郁子、金子友子、故・富本陶の各氏に、チェンバロを村井頌子 、有田千代子の各氏に師事。また、室内楽を有田氏の他、故・鍋島元子、有田正広、本 間正史、花岡和生、中野哲也、鈴木雅明、山岡重治の各氏に師事。 桐朋学園大学音楽学部古楽器科卒業。現在は各地で独奏、室内楽などの演奏活動を活発 に行っている。

朝倉 未来良(フルート)
 岩手県生まれ。中学生のときにフルートを吹き始める。高校在学中にバロック音楽に興味を持ち、17歳で有田正広氏のもとへ入門する。その後、桐朋学園大学音楽学部にすすみ、ひきつづき同氏にフラウト・トラヴェルソを師事。アンサンブルを有田氏の他、 故・鍋島元子、本間正史、花岡和生、有田千代子の各氏に師事。1987年同大学研究科を修了、第1回古楽コンクールにおいて第3位、翌年同コンクールにおいて第2位に入賞 する。その後、さまざまな古楽オーケストラ・アンサンブルへの参加を経て1995年、1997年の東京文化会館小ホールでのリサイタルなど、独奏、室内楽の分野でも意欲的に活動を続ける。最近ではいわゆるオリジナル楽器を用いたルネサンス、バロック、クラシック音楽の演奏のみならず、20世紀初めにつくられたフルートを使った近代、現代音楽、ジャズなど他分野でも活動しているが、最も力を注ぎ、また親しみを込め、日本各地での演奏を展開しているのは18世紀の作品である。 2002年2月、初めてのソロCD「Le lutin(ル・リュタン)〜いたずら好きの妖精」をリリース。



三木俊雄/テナー・サックス 上村信/ベース
JAZZ

テナーサックスとベースの対話が創るジャズ

日時9月8日(月)19:30
入場2,500円
定員40名

ジャズ、それは酒場の音楽であると同時にコンサートホールの音楽でもありま す。この芸術と芸能のはざまで発展し続ける20世紀が生んだアートフォームは今や世界中のあらゆる都市に息づいています。ストリートに、ジャズクラブに、オペラハウスに。そしてもちろん江戸時代からここ浅草に建つ蔵も例外ではありません。 日本のジャズシーンを代表するトッププレーヤーが、テナーサックスとウッド ベースで語り合うアコースティックデュオ。蔵の中で響きあうジャズの息遣いをお楽しみ下さい。


三木 俊雄 プロフィール
1963年 大阪府生まれ。 関西大学卒業。在学中 第五回 宝塚ジャズフェスティ バル 学生ビッグバンドコンテストでベストプレイヤー賞を受賞。 1986年 バークリー音楽大学に バークリー プロフェッショナル スカラーシッ プを獲て留学。リッチ− コール アワードを受賞。 サックスをビル ピア ース ジョ− ヴィオラに、アレンジをハーブ ポメロイ、 フィ ル ウィルソンに師事。  ロイ ハーグローブ (tp) ジョシュア レッドマン マーク ターナー シェーマス ブ レイク (ts) アントニオ ハート 山田穣(as) ジェフ キーザ− 大西 順子 (p) 大坂 昌彦 ホルヘ ロッシー (ds) ポーラ コール (vo) らと、セッションを重ねる。 1989年 同大学 プロフェッショナルミュージック科卒業後ニューヨークに移り 住み、約半年間 滞在する。その間に、ビル エバンス (sax) 大西 順子(p) 大坂 昌彦 (ds)らとフランスに楽旅。 1990年 帰国後 約1年間 大阪を中心に、古谷 充 (as) 東原 力哉 (ds)らと 活動の後、'91年から東京で活動を始める。 現在 世良 譲 (p) 内堀勝ビッグバンド 小曽根真 (p) 池田 篤 (as) らをはじめ さまざまなセッション、ジミースコット(Vo)の来日公演、および自己の率いる10 ピースバンド「フロントページオーケストラ」で活動するほか、作曲、アレンジでも 高い評価を受けている。 なお、'97年4月から東京FM デジタル衛星放送チャンネル ミュージックバードch 8にてジャズ番組「オープンセサミ」のパーソナリティーを担当して いる。 尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科非常勤講師
http://123.4pu.com/mikitoshi/

上村 信(かみむら しん) プロフィール1964年生まれ、群馬県前橋市出身。愛知県名古屋市にて大学在学中にベースを始める。92年に大坂彦&原朋直クインテットに参加。以来、8年間に渡り同グループのベーシストを務める。96年にダスコ=ゴイコヴィッチの初来日ツアーおよび、 CD "Good Old Days"/Dusko Goykovichのレコーディングに参加。97年には米国ワシントンD.C.の"桜まつり"の一環としてケネディーセンターにて開催されたコンサートに大坂&原クインテットのメンバーとして出演。現在では、自己のカルテット(緑川 英徳as、高橋徹ds、三木成能p)での活動の他に、大山日出男4、大森明4、岡崎brothers、T.M.D.(東京銘曲堂)、The Mostなど、首都圏を中心に様々なセッションで活躍中。ハーモニーセンスの良さと、安定した力強いビートによる的確なサポートで、多くのミュージシャンから厚い信頼を寄せられている。


インドの弓奏楽器・エスラジの響き
向後隆/インド伝統楽器エスラジ 赤根彰子/タンプーラ 立岩潤三/タブラ

北インド古典音楽の演奏とインドのお話

日時9月21日(日)14:00/18:00
入場2,500円
定員各回20名

エスラジ Esraj

本場のインドでも少々めずらしい、ベンガル地方(東インド)の弓奏楽器。胴体は木をくり抜いたものに山羊の皮が張られています。弦は約20本あり、主に弓で弾く弦は数本しかなく、フレットの下にあるその他の弦は共鳴弦として使われています。「共鳴弦」とは、2本の弦を同じ音程に合わせると、一方を弾いた時に他方の弦もうなり始め、共鳴しあって、豊かな音色効果をつくる弦のことです。この楽器はソロで古典音楽を演奏する場合もありますが、民謡の伴奏に登場することも多く、ベンガル出身のロビンドロナート・タゴール(今世紀初頭のアジアで初のノーベル賞を受賞した文学者)が文学作品以外にエスラージを使った多数の詞曲(タゴール・ソングと呼ばれていて、民衆に愛されている)を残したことでも知られていますが、後継者が少なくインドでも珍しい楽器になりつつあります。

--- 向後 隆(こうご たかし)プロフィール
1960年東京生まれ。 芝浦工業大学電子工学科卒。1982年、インドの弓奏楽器「エスラジ」に出会う。電子楽器メーカーのサウンドエンジニアを経て、インドに渡る。中村仁師にエスラジを師事後、ヴィシュババラティー ・タゴール国際大学のRanadhir Roy師にエスラージを師事。カルカッタにてPandit V.G.Jog師に音楽理 論を師事する。NHKテレビ・ラジオ等に出演。インド古典音楽の他にエスラジを中心として、アジ ア・アフリカの楽器やシンセサイザーを使った作曲活動も展開している。CD制作にも意欲的で、多数発表している。
http://www.bon-music.com/

タブラ Tabla

北インドの代表的打楽器で、右手で叩く小さい方がタブラ、左の大きい方がバヤ。合わせてタブラと呼びます。中央の黒い円は鉄粉などを練り合わせたものが塗られていて、こ れが多彩な音色や奏法を可能にしています。果てしなく叩き出されるリズムは時に一定になったり、はずれたり、とても複雑で無秩序に聞こえることがあります。 ところがエスラージが弾くメロディーの1拍目では、これがピタリと合うのです。これはタブラ奏者が「ターラ」と いうリズムの骨組みを捕えているからなのです。この「歌うようなリズム」は、次第に普遍的な「宇宙のリズム」 にも聞こえてくるでしょう。

--- 立岩潤三(たていわ じゅんぞう)プロフィール
1966年徳島県生まれ。1987年東京の武蔵野音楽学院(プロ養成科)にてドラムを坂田稔氏に師事。 卒業後にインドの古典パ−カッションであるタブラを吉見正樹氏、アミットロイ氏に師事。 アラブ音楽、インド音楽、ハワイアン、ロック、ポップスなど幅広いジャンルでDrums/Percを演奏。 他にも即興演奏やダンスとのコラボレ−ションなども行う。また、MIDIデータ制作、CM音楽の作/編曲、 音楽書籍執筆、音楽講師(渋谷TOKIWAMUSIC SCHOOL) 等で活動中。

タンプーラ Tampura

4〜6弦のフレットのない撥弦楽器です。この楽器はとてものんきに構えていて、始めからおわりまで一定のテンポで演奏され、ひたすらマイペースで進みます。こののんびり屋の、のんき君、実は曲の基本となる音を常に他の演奏者に伝える、という大役を担っているんです。この楽器の音程が狂ってしまうと、エスラージとタブラがどんなに良い演奏をしても、その曲を全くだめにしてしまいます。ナマケモノのようでいて、本当はこの楽器、陰の調律師なのでした。

--- 赤根彰子(あかね あきこ)プロフィール
1961年生まれ。ヨーガ研究家 共立女子大学・生活美術学科卒。大正大学大学院・仏教学修士 課程修了・文学修士。「岡倉天心の仏教観」の論文にて学長賞。 全日本仏教徒弁論大会にて優勝。大法輪閣編集部入社。学生時 代よりヨーガを実践し、インドに渡り、ヨーガ道場にて修行。 インド・シバナンダアシュラムのスワミ・クリシュナ師より、 ヨーガ教授可能証明書を受け、帰国。その後もインドに渡り、 ヨーガを研究する。 1998年、マハラシュートラ州のカイバラヤダーム・ヨーガ 大学を卒業し、日本では大変少ないインド政府公認ヨーガ教師 となる。 帰国後、東京・横浜にて、ヨーガの指導、講演・執筆等を行な う。現代ヨーガアシュラム代表。

北インド古典音楽について
インド音楽のルーツは紀元前2000〜1000年頃のヴェーダ時代まで遡ります。その後、11世紀頃からのイスラム教徒による侵入で、北インド音楽(イスラム文化とヒンドゥー文化の融合したもの)と南 インド音楽(ヒンドゥー文化を維持したもの)に分かれました。北インド音楽は即興性が高く、主に宮廷音楽として発達してきたものです。

北インド音楽には、「ラーガ (RAGA)」と呼ばれる音階的な旋法が多数あり、それは「心に響きわたる色彩」ともいわれ、インド音楽独特の旋律を生む核心になっています。それぞれのラーガには基本的な音階や強調される音、特徴を表わす旋律、演奏される時間帯などが決められていて、演奏 者はラーガのこれらのキャラクターを崩さないよう、定められた規則のもとに自由に音を作り出して いきます。
また、インドのリズムは「ターラ (TARA)」と呼ばれ、打楽器の音を“ダ”“ディン”といっ た言葉で表したもので構成されています。タブラ(北インドの代表的打楽器)奏者はこの「ターラ」というリズムの法則を踏まえながら、即興でバリエーションをつくっていきます。
メロディー奏者とタブラ奏者は、お互いに即興をし、かけあいをしていきます。メロディー奏者 (エスラージやシタール奏者)が即興に入っている時は、タブラ奏者は基本的なリズムをキープし続 け、反対にタブラ奏者が即興に入ると、メロディー奏者は決まった旋律を繰り返し、どちらもリズム の1拍目でか、あるいは旋律の頭に戻ってくるように即興を展開していきます。
インド音楽を聴いていると、初めと終わりがなく、円の中をグルグル回っている様に感じることがあ るかも知れません。これは、「0(ゼロ)」を発見したインド人ならではの音楽、宗教、輪廻思想に 深くかかわっているのです。果てしのないサークル、メビウスの輪から次々と生み出される旋律とリズムは、創造と破壊の神、シヴァの力を借りている様でもあります。この音楽を「即興の魔術」と言 わずして、何と言えましょう。


天鼓(てんくう) 暁天+Percussion 花
ディジュリドゥ/胡弓/カリンバ 他

世界各地の民族楽器を奏で、心に浮かぶ自然の風景、魂の旅を音楽に。

日時9月23日(火・祝)14:00/18:00
入場2,800円
定員各回25名

天鼓 プロフィール
2000年、赤城山夜の林でのライトアップライブで100名余の観客を魅了。暁天とPercussion花によるユニット「天鼓」が誕生する。以来各地で活躍を続けている。世界各地の民族楽器から、ここちよい音を紡ぎ出す二人。自然を心で感じ、その情景を音の抽象画として描き出す。世代を問わず聴く者をやさしい気持ちにしてくれる「天鼓」のサウンドは、学校公演、バリアフリーイベント、現代ダンスやインド古典舞踊とのコラボ レーション、カフェ、エスニックレストラン、ギャラリーライブなど、様々なところで求められている。
2003年より、Percussion花による演奏とともに暁天がライブ・ドローイングを行なうスタイルも展開、今後ますます活躍が楽しみなユニットである。

暁天 プロフィール
イラストレーター、オブジェ作家として活躍する中、インド、アフリカ、屋久島と旅を重ねる。各地で出会った民族楽器に魅了され、より高品質なものを自身で製作するようになる。漆工芸による芸術性と、プロ仕様の音質を追求した作品。それらを「天鼓」やソロ活動で演奏する一方、民族楽器講師としても活躍している。

Percussion 花 プロフィール
「アフリカンたいこ教室」主宰。 中央アフリカ旧ザイール音楽のグループに4年在籍。97年CD発売。民族楽器ユニット「天鼓」、Djembe & Tap「スキップッポイ」を展開するほか、NHK「おかあさんといっしょ」のうたのおねえさんや、 J-POPを始め様々なアーティストと共演活躍中。

 



10.1 - 11.3
フィリズ・エマ・ソヤック
Filiz Emma Soyak
Striving to be Conscious
絵画
Swedish Style 2003 参加

日本とアメリカを拠点に活動を展開する若きアーティスト、フィリズ・エマ・ソヤック。 スウェーデン人の母とトルコ人の父を持つソヤックは、ベルギー、スウェーデン、トルコ、日本、アメリカといった様々な国での生活を通じて独自の眼差しを育んできました。 アメリカ・バーモント大学の美術学科を卒業後、アメリカ、日本の双方でデザイナーと しての仕事をする一方で、アート作品の制作活動および発表を行ってきました。現在彼女は、アクリルや水彩のペイント、写真、和紙など自然素材を使いながら、日本の歴史や文化が育んだ美に触発された作品を制作しています。 本展覧会のテーマ、"STRIVING TO BE CONSCIOUS" は直訳すると、「意識的にな ることへの努力」という意味です。彼女は、人々が失ってしまった日常のささいな出来事に着眼し、もういちどその意味を発掘し、それをアートによって広く表現することに挑戦しているのです。本個展においてソヤックは、そのコンセプトに基づいて制作された絵画作品約20点を発表しています。

topaz/ Filiz Emma Soyak

フィリズ・エマ・ソヤック Filiz Emma Soyak http://www.filizsoyak.com/
スウェーデン人の母とトルコ人の父のもと、ベルギーで生まれる。6歳の時に来日。 日本での生活は彼女の人格形成に大きな影響を与える。92年にアメリカへ移住、2001年 にバーモント大学を卒業する。専攻は美術。卒業後、アメリカと日本の企業でデザイン関連の仕事を手がける一方で、アーティストとしての作品を制作・発表。現在、日本とアメリカを行き来しながら制作・発表活動を展開している。

『意識することへの努力』−日常のアート
フィリズ・エマ・ソヤック

「想像力が鈍っている時には、自分の目を信じるべきではない」
-マーク・トウェイン

 私は自分自身のこと、自分の身の周りに起こっていることを意識するよう日々努力しています。多くの人が忘れてしまっているのは、私たちを取り巻き大切なものを覆って隠してしまう殻から出ていくことです。人々が、日常にある素晴らしいものを見落としてしまうのは、本当に大切な何かを思い出せなくなっているためだと気づきました。「ギャラリー・エフ」の辿ってきた道のりに重ね合わせて考えると、日常のアートはただそこにあるだけでなく、歴史や記憶、出来事を刻みつつ存在しているものです。そういった、どちらかといえば見落としがちである「ささやかな」ものを正しく評価していくことが日常の中のアートなのかもしれません。
 私は、美や日常のアートは私たちの目で見て感じているものよりずっと深いということを人に伝えていくのを目標としています。私は人生の大部分を日本で過ごして、本当にたくさんのことを学びました。日本には、あらゆる場所にアートや詩的なものが溢れています。また古さと新しさ、素朴さと優雅さ、深刻さと陽気さ、厳しさと優しさ、硬さと柔らかさ、直線と曲線、人工と自然といった対称物のバランスを操る能力に長けています。そして自国の文化を大切にしつつも、未来の流行や建築、科学技術を取り入れていくのを恐れないという特徴もあります。
 世界中の誰もが今、ひとつの流行として日本にインスピレーションを求めています。日本で並外れて優れているものは、きわめて繊細な職人業と作法です。お茶会や相撲、寿司と生姜の盛り付け方、着物、墨絵、歌舞伎や会話のスタイル、そしてわびさびなどが例として挙げられます。
 私の作品を見る人が、自らの想像力を使って自分が一体何を見ているのかを理解するように心掛けてもらいたいのです。それは必ずしも私が見ているものでなくて構いません。多くの絵がとても抽象的なのもそんな望みがあるからです。私は自分の絵が、他の人にとって自分を取り巻くものを正しく評価し始めるための手段であって欲しいと願っています。ありったけの色や形、線、そして質感を用いた層を作ることで私は、時・所・心という移り変わってゆくものを表そうと試みました。
 私たちは意識するように努力すべきであり、「日本人の目」をもって世の中や私達の人生をどう見ていくかを学ばなくてはいけないのではないでしょうか。−−この主として物質主義的な世界の中でささやかなものの存在に気づき、そして日常のアートを楽しむために。

 


ライブイベント
11.2
笛奏者・雲龍

まっくらな 蔵のなかに 笛の音がひびき 風とともに 一瞬を旅する

自然と、そして笛と語り合いながら音を紡ぎだす、笛奏者・雲龍。
その深い音色は、聴く者を未だ見ぬ心の旅へと誘う。
生まれた時代も、場所も違う笛たちと雲龍が描き出す森羅万象。
ビルの森に囲まれた静寂な土蔵の中で 雲龍の笛の音に身をまかせてみませんか。

雲龍 (un-ryu) プロフィール
1962年大阪生まれ、長野県在住。 幼い頃より笛に親しみ、鞍馬山、出雲、吉野、富士山、高千穂ほか、さまざま な「場」で笛を吹く。演奏する笛は、横笛をはじめ土笛、木の実の笛、コアガ ラスの笛、ネイティブアメリカンフルートなど多岐にわたる。信州高遠美術館 「平山郁夫」展、ワタリウム美術館岡本太郎ほか出展の「大地の精神」展、 横尾忠則&細野晴臣「アートパワー」展などアートとのコラボレーション、 伊勢・猿田彦神社本殿遷座巡行際など神事への参加といった幅広い活動を行う。



11.13 - 12.14
レオナルド・ペレガッタ
Leonard Pellegatta
VISIONI- maboroshi
写真

日本在住のイタリア人フォトグラファー、レオナルド・ペレガッタによる記憶とイメージが浮遊し交錯する都市(東京)の風景、約20点を展示。

後援イタリア文化会館 東京

展覧会 "VISIONI - maboroshi" はこの街での詩的な旅である。 東京の風景はとても興味深い距離感で描かれている。 人々とモノは、まるで物理的な現実感を失ったイメージの中に存在しているかのようだ。 写真が取り込んだ青みがかった光のなかに、私たちは時間を超えた空間という感覚を得る。 時として、このイメージが持つ幾重もの層から成る要素は、私たちの想像力を増幅させる。 現実感は透明になり、風景の魂はその姿を現すことができる。--- レオナルド・ペレガッタ

 

 

 三十年前にとった祖母の写真をみると、写真にうつっていること以外、声や所作、ふきを炊いた味までが、ぼくのなかによみがえってくる。誰にとってもそういう写真はあるとおもう。
 それらの写真は広大な記憶の海にはいっていくための四角形のいりぐちだ。そして、海のいちばん深いところでは、さまざまなひとの膨大な記憶が音もなくまじりあい、つながりあって、誰もみたことのないふしぎな景色をなしているかもしれない。今回展示されるレオナルドの作品をみて、その一部をきりとった風景写真みたいだとおもった。--- 作家 いしいしんじ

 

フォトグラファー レオナルド・ペレガッタ Leonardo Pellegatta (Italy)

1970年、イタリアのミラノに生まれる。
1996年、" Fine Arts at the School of Visual Arts of New York"を卒業。
1997年よりプロフェッショナル・フォトグラファーとしての活動を開始する。とりわけ演劇やダンスの分野で写真を数多く撮影する。
1998年からは、"The Festival of the Two Worlds" の公式カメラマンを務める。これまでに、資生堂や Maloといった広告写真として使用されている。
2003年からは日本に拠点を移し、雑誌での作品発表を開始する。 雑誌『モノ・マガジン』では、イタリアのサーカスを撮影したシリーズや千葉県と東京都の県境に沿って撮影した東京の都市風景の連作 "Tokyo East End Drive" を 発表する。同じく2003年、電通からの要請で、読売新聞の記念キャンペーン用の写真を撮影。イタリア国内およびほかの国々でも展覧会に参加し、個人的な写真や実験的な作品を発表している。
フォトグラファーとしての経歴とともに、いくつかの実験的なフィルムで監督も務める。
1997年には、ビデオ作品 "I am making a road" が、ミラノ・トリエンナーレ、 インビデオ・フェスティバル出品作品として選ばれる。
2001年、G. De Vecchiとともに、ドキュメンタリーフィルム"Tabanka ka mori" を監督。The Cape Verde Islandsにおける音楽の伝統を記録したこのフィルムは、 ユネスコの文化プログラム"La route de l'esclave" の支援を得て制作された。 数年前からは、イタリアのサーカスに関するドキュメンタリーフィルムと写真のプロジェクトを行なっている。


ライブイベント
12.11/ 13
友吉鶴心
花一看

薩摩琵琶

第7回
テーマ「涼の頃から月見まで」
演奏曲目『雪晴れ』--- 作詞望月唖江 作曲鶴田錦史
討ち入りを終え泉岳寺へと向かう義士たちの頭上には、澄み切った雪晴れの青空が輝いていた。

花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心

 

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