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Do the right thing Do the wild thing Do your love thing now
email interview & translation | Izumi (Gallery ef) |
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あなたは独学でグラフィック・デザインを学んだそうですね。そのプロセスにおいて得た最も重要なことは何ですか? そうです、私は独学者です。未だに勉強中で、それを止めることはないと思います。
東京のためのエア・シガレットに「アイディアル(理想)」という名前がついたいきさつを教えてください。 エア・シガレットのどのエディションにも、特徴的なブランドネームを付けるようにしています。東京バージョンには、西洋の概念を応用するのではなく、日本人にとって意味のある名前を付けたいと思いました。
ふだん東京をどのように意識していますか? 東京に注目するのはどんなときですか? ロンドン、パリ、ニューヨーク、東京、上海、ニューデリー… 子どもの頃から東京は私にとって、ほんとうに大きくて興味深い、世界の中でも数少ない大都市のうちの一つでした。
トーキョー・アイディアルのための2ヶ月に及ぶデザイン試作を、すべて取りやめましたね。デザインするのをやめて、身一つでまず東京へ来よう、と思わせたものは何ですか。ものすごく勇気がいると思うのですが。 それまでしてきたデザイン試作をすべて取りやめたのは、雑誌を使ったコンセプトを夢でみた時です。その夢から目覚め、100%明確に「これが正しいことだ」と思えました。まずは東京に「触れる」ことでしか、真のデザインは作れないと気づいたのです。
初めて東京に来たときから18年が経って、東京の印象はどうでしたか?(今回は浅草以外ほとんど見ていないけれども…)すごく変わったと感じたことはありましたか? 初めて東京に来たときは、まさに異国でした。今回は東京にとても親しみを感じました。ギャラリーのチームにとても歓迎され、支援されたからだと思います。
実は、事前にスペースを見ずにプロジェクトを進めたアーティストはあなたが初めてです。不利に感じたり、もどかしかったりしましたか? そしてウィーンでの制作プロセスと現場での設営において、それをどうやって克服しましたか? ええ、事前に空間を体験せずに展覧会を準備するのはとても難しかったです。模型を作って空間の雰囲気を予想してみたり。
東京に到着した日に、作品の素材となる雑誌を集めに書店へ行きましたが、そこで最も興味深かったことは何ですか? 書店そのものと雑誌はヨーロッパとほぼ同じでしたが、違っていたのは雑誌を梱包してくれた従業員の人たちです。3人の人による完璧なチームワークで、特に梱包技術はすばらしかったです。あなた方日本人が、たくさんのことにおいて高い技能に優れている理由を理解した瞬間です。梱包のような簡易でありふれた行為にさえ、熟練の技があるのですから。 (注:数十冊の雑誌を自転車の荷台に積めるように段ボール箱に入れていただき、重たいので紐と持ち手を2つ付けていただきました)
最も興味深かったのは、日本の生活と環境がいかにヨーロッパのそれと似ているかということでした。これだけの相違点があるにも関わらず、共通点の方が多かったのです。
会場での制作プロセスにおいて、東京エア・シガレットのあるべき姿が明確になった瞬間は? 東京でのプロセスのちょうど中間あたりで(到着して2日後、オープニングの2日前です)、私の今後の作品にとって重要な要素となる何かを今まさに始めているのだ、という感覚を突然得ました。
今回の展示のメインイメージとなったフレスコ画とキスマークのコラージュですが、会場に飾られた作品にはさらに毛のようなものが生えていました。なぜ楽園に毛が生えたのですか?? フレスコ画のイメージを作っていたとき、フレスコの描いている楽園があまりに非現実的だ(あまりに天国っぽい)と気づきました。より現実味を持たせるために、ホコリが必要だと考えました。現実の世界では何もかもにホコリがついているように、本当の楽園にも必要だと(宇宙塵はどこにでもあり、楽園にさえあるのです!)。
あなたは東京に着いてからの丸4日間、驚くべき集中力で制作に取り組みました。あなたのその集中力は持って生まれたものですか? それともアーティストとして訓練されたものですか?(それにしても極端だと思うのですが?) 古くからの友人であるステファン・サグマイスターがかつて、アメリカ人アーティストのジェニー・ホルツァーの作品である「PEOPLE ARE BORING UNLESS THEY'RE EXTREMISTS(過激でない人々はつまらない)」という言葉を挙げて、私のことだ、と思ったそうです。私がアーティストまたはデザイナーになる前のことです。なので、過激であることは私の生まれ持った気質なのだと思います。
オープニングでのチェリー・タイフーンのパフォーマンスはどうでしたか? チェリーはほんとうに愛らしい! とても開放的な彼女は、情熱的で興味深い人生を生きることの喜びに向かって突き進んでいて、すばらしいスタイルを持っている。
展示が完成するまでの間、あなたは死ぬほどタバコを吸い、そして初日を迎えた日からすっぱりタバコをやめましたね。私はそれにもたいそう驚きました。 1992年、私はウィーンにあるアートと写真の私立学校に入学しようかと思っていました。同時に私は、妊娠していたようでした。なので私はその学校の校長に、子どもを持ちながら学業を両立できると思うか、と尋ねました。
禁煙に成功したら、あなたはモチーフを失うのでは?と観客の一人が言っていましたね。現在のエア・シガレットはどんな位置にあるのですか? 完結したのですか? なぜだか、エア・シガレットはいつか東京へ行くのだと始めからわかっていました。だからこれで完結です。ですが、ヨーロッパに戻る空の上で、この小さな紙の作品の、完璧な姿形のビジョンが浮かびました。それはトーキョー・アイディアルを含むすべてのエディションの結末のようなものです。このアイデアは今も私の心から離れません。私自身も楽しみです。 あなたの滞在中に、日本では長野でオリンピックの聖火リレーがあり、その日偶然にも個展会場には6人の中国人のお客さまが来ていました。そして彼らを巻き込んで、あなたの別のプロジェクトである「オリンピック聖火ポスター」のアクションをしましたよね。 引力を生み出しているのは私ではないと思います。むしろ私が、時と場所から成る自然の引力が集中したスポットを探しているのではないかしら。
私たちは、自分のしていることの境界線に自らとらわれることが多いと思います。あなたはグラフィック・デザインの限界を感じたことはありますか? 明らかに、あなたはそれらを飛び越えていっていますが。 そうですね。通常私たちグラフィック・デザイナーが創り出すプロダクツは、小さな美術館のようなものだと感じます。それらは無口で、すべてが秩序を持ち、あなたが好きなときに好きなだけ見ることが(訪れることが)でき、そこにいてくれます。
プロジェクト以外で、東京で何を見つけましたか? ギャラリーのそばにある美しいお寺で、朝の6時に始まるお坊さんたち(と私たち)のお祈り。
進行中のプロジェクトは何ですか? ホームページを完成させなくては。
また東京に来てくださいね! もちろんそうしたいです! 愛を込めて。エリザベス
エリザベス・コップフ日本初個展『エア・シガレット|トーキョー・アイディアル』詳しくはこちら(ギャラリーアーカイブへ) >> |
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