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9月26日(金)〜10月13日(月/祝)
姉川たく
you重力未訂正衛星「ねけだせれない」

12:00-21:00(最終日は19:00まで)火曜休廊 入場無料

オープニング・レセプション|9月25日(木)19:00-21:00

「繊研仕事ラボ」姉川たくインタビュー >>

 

空中に糸が浮かんでいる。
まるでへその緒のように、たゆらかに。
小さな糸は小さな意志を持ち、餅のような柔軟さで
自らを引き延ばし。分割し、複製し、新しい世界を作ろうとする。

空中の糸は、その小さな可能性を示し
進化の逆流をたどる。

ぼくとあなたにのしかかる重力。

あらゆる重力を超えて、
間違った言葉で、誤った未来を作る。
肯定して、忘れる。
否定して、思い出す。

-- Taku Anekawa --

 

 姉川たくは、「糸」をテーマに表現活動を展開しているアーティストである。キャンバスにドローイングやシルクスクリーンでグラフィックを描き、糸を縫い付けていく。その縫い方は、糸によって丁寧に彩色をしていく一般的な刺繍とは違い、あくまで直感的である。絡まり合う糸たち。キャンバスの外へ広がる糸たち。心の奥底に湧き上がる衝動を、糸を縫い付けることで表現しながらも、姉川が自身の作品づくりで目指しているのは、糸そのものの存在を問いかけていくことだという。
 糸は私たちにとって極めて身近な素材であるとともに、つねに明確な目的のために用いられる。布を縫い合わせ、刺繍をし、何かを結ぶ。だが、糸そのものの魅力が充分に引き出されているかは疑問であると、姉川は指摘する。彼は糸という存在に惹かれ、その固有の意味を明らかにする表現方法があるはずだと考えてきた。
  2004 年に糸を用いた創作活動を本格的に始めてから、姉川たくは何かに取り憑かれたように発表行為を続けてきた。国内外での個展の開催やグループ展への参加。ファッションブランドとのコラボレートによるライブ制作やショップでの展示。そして、雑誌メディアでの作品発表。彼は、デザイン会社の代表として、アートディレクションやプランニング、そしてイラストレーションを手がけている。デジタルコンテンツを得意とするクリエイターとしての評価も充分に高い。それなのに、彼はなぜアートとデザインの両輪で走り続けるのだろうか?
「根本的にモノづくりが大好きです。デザインはチームで作る。ディスカッションして、コミュニケーションしていくなかから生まれる。アートはもっと個人的で、自分勝手な考えを表現するモノづくり。僕は欲張りだからその両方がないとつらく感じるのです」
 表現行為こそが自らの糧と自負する姉川たくの新たなる挑み、それは「闇」と対峙することである。これまでホワイトキューブのギャラリーで展示を構成してきた彼が、9月 26 日から始まる展覧会で会場として選んだのは、江戸時代末に建立された土蔵を再生したアートスペース、ギャラリー・エフである。姉川は、 140 年の歳月を経て存在し続ける蔵という空間に何を感じているのだろうか?
「蔵には特有の重力がある。漆黒の闇はブラックホールのように色々なものを吸い込んでいく。恐怖感を覚えながらも、強く魅かれる自分がいる。暗い異空間に糸を放ってみたい。宇宙に糸を投げるような感覚で」
 さらに今回の展覧会は、9月26日から10月13日と10月31日から11月30日の2部構成である。前半は糸によるインスタレーションを行い、後半ではキャンバスをベースにした作品群が登場する。
  2008 年秋、漆黒の闇とスタイルの違う二つの展示によって、糸の意味を探り続けてきたアーティスト・姉川たくの「今」が明らかになる。

企画|phil co.,ltd
協力|NANZUKA UNDERGROUND

vol.2 2008年10月31日(金)〜11月30日(日)
you重力ベイビー「ボくぷまれたよ」 >>

 

Photo : Natsu Tanimoto 
(C) 2008 PHIL co.,ltd. All Rights Reserved.

姉川たく プロフィール

1970 年、神戸に生まれる。大学時代は、テキスタイルデザインを学びつつ、身体表現に没頭し、自らパフォーマンスグループを結成する。大学卒業後、インテリアデザインの会社に就職。商業施設の空間デザインを手がけつつ、自らデジタルコンテンツの部署を立ち上げる。その時期に制作したコンテンツは、「ソニー・デジタル・エンターテインメント・プログラム 96 DEP BEST AWARD 」を受賞するなど高い評価を得る。 2001 年、活動拠点を東京に移し、デザイン会社を設立する。テレビ番組のアートディレクションなどを担当しながら、アーティストとしての活動も開始。 2005 年、糸を使った表現活動として初めての展覧会『 CORE COMPETENCE 』(Gallery Speak For /東京・代官山)を開催。 2006 年の展覧会『Hidden Curriculum 』は、東京、札幌、ニューヨーク、大阪を巡回した。 2007 年には、日中の現代アーティストを紹介する展覧会『Yi Dong 』(リヒテンシュタイン美術館/オーストリア)に参加。また、 AndA Homme や THE NORTH FACE など、ファッションブランドなどのコラボレーションにも積極的。 2008 年は、糸を使った新作によって大阪のヘアサロン『GRANADA 』の店内装飾を行った。

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