2003.12.24
- 2004.1.18
張 少俊
関係學 guan xi xue
墨絵
陰と陽、男と女、大と小、自然と人間、社会と個人。
細胞を構成するミクロの世界に無限の宇宙を見、
個の精神のバランスに変化する社会を考察する。
世界はすべて関係で成り立っている。
張少俊による哲学的絵画の世界。
オープニング・パーティー
12月23日(火/祝)18:00
陰陽の茶会
1月1日(木)0:00
上海在住のアーティスト、張少俊による哲学的墨絵作品、約20点を展示。
張少俊はこの個展の作品において、様々な違った側面を持つ陰と陽の融合、光と影の遊び、大と小の変換、内と外の衝突、これらの解読を試みた。アジアの大地に生まれた私たちが持つ黒い瞳の世界、その世界の中にある様々な関係の解読の試みは、自らを知り、深めてゆくことで得られる、バランスの可能性を提示した。
関係 ―黒い瞳の世界
一粒の砂の世界とはどれくらいの大きさなのか
「直径は0.1mm、体積は0.000532立方mm、それはある海で発見された」
西洋人はこう述べるだろう
「一粒の砂は一つの世界である」
東洋人はこう語るだろう
その一粒の砂は、前世であり来世でもある
前世では美しく雄大な山の岩石であり、来世ではある日偶然に出会うことのできる、霧の中の結晶の一粒になるかもしれない
その一粒の砂は、陰であり陽でもある
陰とは水からの栄養であり、陽とは日の光の持つ温かさである
その一粒の砂は、光であり影でもある
光とは成長の過程であり、影とは生命の痕跡である
その一粒の砂は、大きなものであり小さなものでもある
大きなものはその一粒の砂の歴史であり、小さなものはその空間を占めるものである
その一粒の砂の内には、生命が欲する海に対する貝の渇望、太陽の光に対する木々の欲望、愛に対する人々の追求が存在し、その一粒の砂の外には、空気があり、水があり、大地があり、そして私たちが存在する世界がある
私たちは東の紅い土の中に産み落とされた時、すでに西洋人とは違う「瞳」を持っている
東洋人は「黒い瞳」を持ち、西洋人は「藍色の瞳」持つ
藍色の瞳の世界には、多くの隔たりがある。人は、陽子と中性子を用いて天体を研究し、物体と速度を用いて世界を解読し、外科的方法を用いて国際間の問題を解決しようと試みているようだ。
黒い瞳の世界には、関係があふれている。人は、他のものと関わりを持つことで、人と人、人と自然、人と世界の間の関係を解釈しようと試み、一つの自然の法則をもって人々に伝えて行こうとしている。人類が生存し発展してゆくには、自然界の動物や植物の生命を得ることが必要であり、いつまでも自然とさまざまなものとの共存は「関係」として
続いてゆく。
張少俊氏はこの個展の作品において、さまざまな違った側面を持つ陰と陽の融合、光と影の遊び、大と小との変換、内と外との衝突、これらの解読を試みました。黒い瞳の世界、その世界の中にあるさまざまな関係の解読の試みは、自らを知り、深めてゆくことで得られる、バランスの魅力を提示してくれているのではないだろうか。
張少俊 友人一同
|
【張少俊 プロフィール】
1958−中国上海に生まれる
1982−上海工芸美術学院卒業
1982−「中国家具」雑誌社美術編集員
1988−渡日
1993−「留学生新聞」社美術編集員
1995−多摩美術大学大学院修了
1998−デザインコンサルティング会社経営を開始 (アートディレクター)/個展・グル−プ展
1991−「50人の眼」展(多摩美術大学資料館グル−プ展)
1994−多摩美術大学大学院「共存・共同体」展(O美術館)
1994−アユミギャラリ−(個展)
1995−多摩美術大学大学院修了展(AXIS GALLERY)
1995−スベ−ス21ギャラリ−(人・神・メディア 個展)
1996−ア−トギャラリ−環(中・日・韓三人展)
1996−INTER-MEDIATE ART EXHIBITION(神奈川県民ホ−ル・ギャラリ−グル−プ展)
1996−MORPHE96企画展−試行錯誤シリ−ズ(ときの忘れもの)
1997−ギャラリ−Q−網シリ−ズ(個展)
1997−ときの忘れもの−漢詩シリ−ズ(個展)
1998−銀座東京三菱銀行ショ−ウインド−ギャラリ−神話の記録(個展)
1998−読めない本・新たな文字 (グル−プ展)(三鷹市芸術文化センタ−)
1999−張少俊作品展 -The ture meaning of word(上海ELEGANT ART GALLERY)
2000−張少俊展−後花園物語(Gallery ef)
2003−上海張少俊工作室主宰
2003−上海芸術博覧会 半島芸術センター デジタルアートスタジオ(グループ展)
現在、上海にてデザインコンサルティング会社の経営、アートディレクターとして活躍するかたわら、張少俊工作室主宰として創作活動を行なっている。
展示の詳細
デザイン・トープのサイトへ移動します
1.24
八城邦義
ジャズドラムライブ
上野哲郎●
ベース 高橋厚雄●サックス
開場●18:30
チケット●3,000円
定員●40名
1部19:30 ドラムソロ
2部21:30頃 ドラムとサックス、ベースとのコラボレーション
【八城邦義 プロフィール】
1959年東京生まれ。
ピアニストの八城一夫を父に持ち中学在学中よりジャズドラムを始める。
1976年河上修 (bass) グループでプロデビュー、ドン・エイブニー (piano) トリオ、村田浩 (trumpet) のBopバンド等を経て、1978年より八城一夫トリオに参加し以降1990年まで活動を共にする。
1986年にはジュニア・マンス (piano)、スタンリー・タレンタイン (tenor sax) と共演し、その他に海外のアーティストではスコット・ハミルトン
(tenor sax)、ルー・タバキン (tenor sax)、サー・チャールストンプソン (piano)、コーラスグループの Golis
などと、国内のアーティストでは八城一夫、前田憲男、世良譲、沢田駿吾、峰厚介など多数アーティストと共演する。
海外での活動として1996年モンタレージャズフェスティバルに出演。1997年から毎年続けてロサンゼルスのジャズパーティーに北村英治 (cl)
と出演している。
現在はフリーで北村英治 (cl)、三木俊雄 (ts)、吉岡秀晃 (p)、水森アド (vo)、光井章夫 (tp) など様々なグループに参加し、マルチドラマーとして代表的な存在となっている。なお2002年に初リーダー・アルバムの "That's All" を発表し、最近では自らのバンドでも活動している。
2.11 - 3.7
小宮伸二
時の魚・記憶の船 Icthyo-timepiece; Ship of Memory
光と水のインスタレーション
其処には水槽があり、絶えず水の波紋がゆらめいている。そしてその波紋は天井や壁など、空間全体にも水の陰影をひろめている。あるものはゆっくりと弧を描き、またあるものは繊細に交わりあいながら複雑な紋様を描きだす。そのようにして、振幅と衰退を繰り返しながら、その空間はいつのまにか水で満たされていく。
僕は歴史的な背景があったり、すでに何かしらの空気を有している空間が好きだ。
それはアルプス山麓の城跡であったり、旧ユーゴスラビア(現セルビア)王国時代の 舞踏会場や、またはウイーンの“水の塔”と呼ばれる歴史的建造物、中世ヨーロッパの教会、日本の寺院であったりもする。
その場所特有の情緒を損なうことなく、しかし其処に全くあたらしい間が現出する時、僕は時間の観念を超えることが出来るような、とても不思議な気持ちを味わう。
今回のインスタレーションでは浅草の土蔵造りの蔵のなかに、魚が空間を泳ぎ、記憶の舟が頭上に浮かぶ。
-----------
小宮伸二
photo:
Yukio Morinaga
2階から1階を見下ろす
2階
カフェ
【小宮伸二
プロフィール】
1961 北海道 函館に生まれる
1987 多摩美術大学大学院 美術研究科 修士課程 修了
多摩美術大学在学中より現在までオブジェ、インスタレーションを中心とした個展、グループ展等を開催している。
同時に演劇との接触により、舞台美術家としてのスタンスではなく自身のインスタレーション作品とのコラボレーションというスタイルで、1987年より「ツベルクリン」他で舞台美術の制作を開始する。その他にも舞踊・舞踏・モダンダンス・インド古典舞踊などのダンスや、1993年ジャズピアニスト“マル・ウォルドロン”などのジャズ・現代音楽・民族音楽などの音楽関係、1994年「RAUM」「RAUM
II」1996年「Ain」の現代音楽・舞踏・現代美術等を包括したアートイベント、WOWOWのTV番組、音楽プロモーションビデオなどの様々なジャンルで舞台における美術作品の在り方を模索する。
また1989年O美術館で発表した「気体のダンスー意識の匂い」(ビデオ作品)以降、映像を取り入れたインスタレーションも展開する。
作品は、木、竹、和紙、布、金属、土、水などの触覚的指向性を強く感じる素材と深くかかわっており、静かな呼吸を丁寧に紡ぎとっていくように、常に現象を内包した空間性を追求している。
1999年オーストリアのシュラッテンベルグ城址でのアーティスト・レジデンスに参加したことをきっかけにして、その年以降1年の約半分をオーストリアを拠点として過ごし、各地で個展・グループ展・フェスティバル等に参加する。スロヴァキア・クロアチア・ユーゴスラビアなど旧東欧諸国でも展覧会を開催している。
個展
■2004年 ART GATE ギャラリー ■2003年『水想の萌芽』清月堂画廊・銀座
/Gallery PAZworld・岐阜 ■2002年『AQUA-RAUM
PROJECT』リンツ・オーストリア /『L U X』ブレゲンツ・オーストリア/『脈動する幾何』Gallery Muu・神楽坂 ■2001年『HAMON』ベオグラード・ユーゴスラビア/『WALDMOND』シャイフリング・オーストリア/『
RESPIRATION -呼吸- 』 FANCL WINDOW ART・原宿 ■2000年『
mio 』ウイーン ■1999年『 SHIZUKU 』水の塔・ウイーン/他
シンポジウム・舞台美術・グループ展等
■2003年『XYZ-KUNST AUS HOLZ』 グリッフェン・オーストリア/『M.E.L.KUNSTHANDEL』
ウィーン/他 ■2002年『ALLES DOBRATSCH 』フィラッハ・オーストリア/他
■2001年『STYRIARTE 2001』 ST.ランブレヒト・オーストリア/『Fest
der Fluesse』ウイーン/他 ■2000年『 TRANSART
2000 』クロアチア/他 ■1999年『 International
visual arts symposium Violin ユIMM 』 ローゼンベルグミュージアム・スロヴァキア/他
●ライブイベント●
3.11/ 13
友吉鶴心
花一看
薩摩琵琶
第8回●冬
テーマ「実りの頃から大つごもりまで」
演奏曲目『勧進帳』 作詞●村上元三 作曲●鶴田錦史
花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心
3.19 - 4.12
イレナ・ハイキン
Irena Khaikin
IMMATERIAL
テキスタイル
後援●イスラエル大使館
協力●ふとんのマスダ
オープニング・パーティー
3月18日(木)19:00〜
Live music by Nobara
photo: Kanki Matsumura
ロシア、イスラエル、そして日本でテキスタイルを学び、そのデザインの可能性を追求してきたイレナ・ハイキン。彼女は現在、コンピュータ・アーティストとのコラボレーションにより、新たなテキスタイル・デザインに取り組んでいる。
手で描いた有機的な線をコンピュータで数学的に解析し、パターンの連続性に生命を与える。絡み合いながら広がる線と色彩。それはまるで私たちの内側にはりめぐらされた神経や染色体のようにも見える。コンピュータという無機質な道具によって理論化されたデザインは、有機素材にプリントされることで、さらに新しい表現へと生まれ変わる。理論と感情、有機と無機とを繊細に紡ぎ融合してゆくその作品は、テキスタイルに豊かな表情を浮かび上がらせる。
今回の展示のタイトルは『インマテリアル(immaterial)』。直訳すれば 「実体のないもの」。空間を呼吸する布たちが語りかけるインスタレーション。
展示風景 上)1階 下)2階
【イレナ・ハイキン】
ロシア・シベリア地方で生まれる。1993年にイスラエルへ移住。
テキスタイル・デザインをロシアのイヴァノヴォ、イスラエルのシェンカー 大学(繊維工学及び服飾)で学び、学士号を優秀な成績で取得。 1999年、文部省の奨学金を受け、日本での調査研究を行うために招聘さ
れる。多摩美術大学で修士号を取得。 現在、同大学の博士課程に籍を置きながら、インテリアとファッションの 両分野で、フリーランスのテキスタイル・デザイナーとして活動している。
彼女のデザインや布地は、クリエイション・バウマンやワイズ・ワイズ、 オゾン・ロックスといったメーカーのコレクションに採用されている。 現在、コンピュータ製作と手作りの関係、人工と有機の関係を探るプロジェ
クトを行うともに、デジタルプリントと手染めの両方でパターンを創って いる。数学的な解析により特殊なデザイン・ソフトの開発は、コンピュータ アー
ティスト、松山信也とのコラボレーションによるもの。
展覧会
■2004年 Nuno・ヌノ展(オゾン リビングデザインセンター)
■2003年 "Imagination
of Information Art"(東京都写真美術館) ■2002年 有田の工房とのコラボレーションによる磁器食器展
名古屋・福岡・有田・東京の巡回展 〜2003年まで) ■2002年 日本工芸展(銀座松屋デパート)
■2001年 "JAPAN
CREATION" (東京ビッグサイト) ■1999年 アメリカ-イスラエル文化財展(イスラエル美術館)
■1999年 "Heimtex"テキスタイルフェア(ドイツ フランクフルト) ■1998年 "Design
98" トールマンズファニチャー社とのコラボレーション (イスラエル テルアビブメッセ) ■1998年 "Gerard
Bahar Centre" (イスラエル エルサレム)
4.17
TRASH DANDY
アート・パフォーマンス
at bar
Cushla
(NZ) Guidance
Ben Frost (AUS) The
1981 President Reagan Assassination Attempt
Steffi Juengling (GER) This
is why
Ben Schwartz beat poetry
DJ THE JET PLANE surreal tracks
●ライブイベント●
4.24/ 25
友吉鶴心
花一看
薩摩琵琶
2004年春から始まる新しい講話のテーマは《日本の芸能史》。私たちの暮らしのなかには、芸能を通して広まったしきたりや儀式が意外と残っているのです。例えば結納の席での上座と下座の関係、など。
様々な芸能の歴史に触れながら、またひとつ生活のなかの日本の美を発見してください。
第3章《日本の芸能史》
第1話「儀式から芸能へ」
演奏曲目『敦盛』作詞●田中濤外 作曲●鶴田錦史
花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心
ギャラリー・エフ7周年企画展
4.29 - 6.21
トーマス・ボーレ
Thomas Bohle
雅士 ya shi
陶
共同制作●Daniela
Egger, 字坊
後援●オーストリア大使館/文化フォーラム
フォアアールベルク州政府
協力●
A&G ALPS, プラザ・ギャラリー
オープニング・レセプション●4月28日(水)19:00
展示風景
レビュー(やきものネット/展覧会みてあるき)
オーストリア西端のフォアアールベルク州は、氷河に輝く山脈に抱かれた「永遠の庭園」と呼ばれる。大地に根ざしたシンプルなスローライフが息づく街ドルンビルンから、トーマス・ボーレのストーンウエア(陶器と磁器の中間の焼き物)が初めて日本に渡る。
岩をおおう苔、つららの溶けてゆくさま、水面に張る薄氷。みずみずしく多様な自然の造形や質感をモチーフにした作品群は、静かでいて壮大な宇宙やあふれる生命力を感じさせる。徹底した造形美と大胆な釉薬の表現との融合。つややかなその表面は、周囲の空気を取り込み自ら呼吸する生き物の肌のように視覚をうるおしてゆく。
80年代後半より本格的に作品制作を開始する。91年には自身のアトリエ兼ギャラリーを開き、今日までヨーロッパ各国で精力的に作品を発表してきた。独創性の高いフォルム、豊かな質感と洗練された色彩の表現は、工芸の枠にとどまらずアート作品としての高い評価を得、様々なアートブックやデザインカタログにも収録されている。
トーマス・ボーレの技術と精度の高さは、陶芸の原点である中国においても伝統工芸の芸術家たちから賞賛され、その美を追求する姿勢に「雅士(みやびを司る者)」という賛辞が贈られている。今年7月には中国・上海での個展が開催される予定。
「素」の美しさに究極まで迫る作品群が、会場となる江戸時代の土蔵でアジアの「静」の呼吸と響き合う。
|
photo: Frigesch Lampelmayer
【トーマス・ボーレ
Thomas Bohle】
1958年、オーストリア西端のフォアアールベルク州(Vorarlberg)ドルンビルン(Dornbirn)に生まれたトーマス・ボーレは、84年に看護師として働き始める。友人に誘われ参加した陶器セミナーにおいて初めて土とろくろに出会い、以来その感覚のとりことなる。趣味として陶芸を始め、87年からは様々な工房で経験を積み、1991年には自身のアトリエ兼
ギャラリーをドルンビルンに開き、ヨーロッパ各地で展覧会開催、フェアなどに出展。2002年初めての来日、各地の窯元を見学。2004年、本個展がアジアで初の作品発表となる。現在、日本/中国/ヨーロッパを結ぶアートプロジェクト『字坊』において、中国古代文字「雅体」を
モチーフとしたコラボレーション作品を製作中。04年7月には初めて上海で発表され、今後の活躍がアジアでも注目されている。
|
トーマス ボーレの器に寄せて
ヴオルフガング ヘルマン(作家/オーストリア)
部屋の突き当たりにひとつの丸みを帯びた器がある。
その肌は純粋な流れでできているかのように見える。
それは自らの存在を気づかせるために空気がフォルムを借りたかのようだ。
簡潔を極めた技法は器を作り出すのみならず、器の姿そのものを消す働きをするのだろうか。
観る者は器までの距離を正確に歩数で測ることはできない。
器という存在は漂いながら空間を満たしている。
一歩近づく毎に形は広がりをみせるかのようだ。
これを観る私たち自身が限りなく近くにある無限の世界に組み込まれているかのようだ。
器の内部にはいくつもの道が開かれてゆく、背後にある幻想の世界へと導くかのように。
微かな息遣い 土 息吹
翻訳●野島弥生
|
●ライブイベント●
6.24/ 26
友吉鶴心
花一看
薩摩琵琶
第3章《日本の芸能史》
第2話「都から発信された芸能」
演奏曲目『川中島』作詞●小川錦蛙 編曲●鶴田錦史
花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心
7.16 - 8.16
コラプシング・ヒストリーズ Collapsing Histories
キュレーション●アーロン・カーナー
Aaron Kerner
ミクスト・メディア
戦争、虐殺、テロリズム。20世紀、世界ではさまざまな惨事が引き起こされた。新しい世紀に突入してもいまなお、悲劇は絶えることはない。私たちは、高度に発達した通信手段によって、世界貿易センタービルへのテロやアメリカ軍によるイラクでの爆撃など惨事のイメージをリアルタイムで受け取ることができる。しかし、衝撃の大きさが加速する一方で、そのイメージはすぐに色あせ、意味を考える間もなく消えていく。そして悲劇は繰り返される。
「コラプシング・ヒストリーズ」(崩れゆく歴史)はまさに失われゆく歴史に光を当てたアート展である。アーティストたちのテーマは、第2次世界大戦、太平洋戦争、ホロコースト、原爆使用、核開発、ベトナム戦争、チェチェン紛争、同時多発テロといった歴史的な惨事。参加するアーティストのほとんどは、作品の題材となる歴史的な悲劇に対して直接的な体験を持たない世代の人々である。
だが、アーティストたちはこういった歴史的な事実と向き合い、そしてアートによって表現した。何人かのアーティストは、その親が戦争や大量虐殺といった悲惨な状況を生き延びたエピソードが作品製作の動機となっている。
人びとの記憶から失われゆく悲劇のイメージをアートで表現し、作品としてとどめる。それがこのアート展のコンセプトである。
インディペンデント・キュレーターのアーロン・カーナー(サンフランシスコ州立大学助教授)の呼びかけに、アメリカ、日本、イギリスのアーティストたち14人が参加。映像、絵画、写真、立体などそれぞれの表現手段により、埋没していくイメージの「発掘」「発見」を試みた。海外アーティストの多くが日本で初めての作品発表であるとともに、日本からは中ハシ克シゲとヤノベケンジが参加する。
本展はすでにカリフォルニア大学サンタクルス校で公開され、大きな反響を呼んだ。日本においては、第五福竜丸展示館とギャラリー・エフという会場がこの展示をさらに特別なものにしている。第五福竜丸展示館は、ビキニ水爆実験被災から50年を経た木造漁船・第五福竜丸を展示する歴史的な資料館。そして、ギャラリー・エフは関東大震災と東京大空襲を生き延びた土蔵を活用したアートスペースである。歴史の証人とも言える2会場は、本展の意図にふさわしい場所であるといえよう。
アーロン・カーナー
Aaron Kerner
キュレーター。社会学博士。現在、サンフランシスコ州立大学の映画学部で教鞭を執る彼は、歴史的な事実と芸術的なイメージの関係についての研究を専門としている。本展にもアメリカの核兵器に対するイメージを映像化した作品を出展する。
|
共同開催会場 都立第五福竜丸展示館
会期 7月16日(金)〜8月15日(日)
開場 9:30〜16:00
休館日 月曜日
住所 東京都江東区夢の島3-2
アクセス 地下鉄有楽町線 JR京葉線、りんかい線新木場駅徒歩10分
地下鉄東西線東陽町より都バス夢の島下車3分
電話 03-3521-8494 (広報担当/安田和也)
ホームページ http://d5f.org
<アーティスト・トーク&交流パーティ>
7月17日(土)15:00〜
●サリー・クラーク(アメリカ)Sally
Clark
写真
クラークの作品は、その清楚な雰囲気とは裏腹に恐ろしい過去を持つ場所が舞台となっている。それはナチスの強制収容所だった。そのひとつ、テレジン収容所はドイツ軍がユダヤ人をいかに大切に扱っていたかを国際赤十字に見せるための場所だった。
●イアン・エバラード(イギリス)Ian
Everard
絵画/立体
過去の写真を水彩で精密に模写し、写真の原本と組み合わせた作品。主題はおもに第二次世界大戦下、ロンドン大空襲時に撮影された報道写真。60年前に撮影されたこらの写真はまさに現在の世界で起きている戦争や紛争で見ることのできるシーンとまるで変わらない。これらの作品は私たちが一体何を学んできたのかを問いかける。
●ハナ・ハナ(アメリカ)Hanna
Hannah
ミクストメディア/立体ハナはAP通信社の写真などメディアに登場したイメージを使って作品を構成する。メディアにまん延するイメージによって私たちはその恐怖に免疫ができていしまっているというのが彼女の視点である。装飾的な背景にこういった写真を配置することで、写真が本来もっていた現実感を再現する。
●ビン・ダン
(アメリカ)Binh Dahn
ミクストメディア
ベトナムで生まれたダンは、ベトナム戦争後にアメリカへと逃れてきた。幼すぎて戦争の記憶はほとんどないものの、その体験は彼の血と骨に刻まれている。ダンは戦争当時の写真を熱帯植物に転写し、戦争の記憶を刻み込む。
●キース・マスコット(イギリス/アメリカ)Keith
Muscut
インスタレーション
キースの父であるジョージ・マスコットの遺品で構成された映像作品。彼の所属するイギリス軍部隊が日本軍に降伏したときの公式文書と日本軍の戦争捕虜収容所に投獄されていた際に所持していた財布を用いたインスタレーション。
●シェルビー・グラハム(アメリカ)Shelby
Graham
コラージュ
グラハムが日本に短期滞在していたときにはゴミ捨て場でみつけた和服を着た女生徒の写真。誰かにとって何かの意味のあるはずのこの写真に思いを馳せたグラハムは、自然素材やミサイルの写真との組み合わせによるコラージュ作品とした。
●ロビン・スミス(アメリカ)Robynn
Smith
絵画
チェチェン紛争においてロシア軍の攻撃により廃墟と化した街グロズヌイのイメージと、テロ攻撃を受けた世界貿易ビルの廃墟のイメージを重ねあわせた絵画作品の連作。
●ジェームズ・フィー(アメリカ)James
Fee
写真/コラージュ
ジェームズの父ラッセル・フィーも写真家であり、太平洋戦争末期にミクロネシア、パラオ諸島のペリリュー島でのアメリカ軍と日本軍の熾烈な戦闘に参加した。ラッセルは1972年にこの戦闘体験が原因で自殺した。ジェームズは父親に悲劇をもたらしたこの地を訪れ、撮影するとともに父の遺した写真を再現・作品化した。
●ロビン・カンデル(アメリカ)Robin
Kandel
ビデオ・インスタレーション
ユダヤ人であるカンデルの父親は、ホロコーストへの収監を、18ヶ月にわたり森に隠れて生き延びた。死んだ家族を土に埋め、冬の寒さをしのぐために穴を掘り、枝や葉で覆い隠した。その父親の体験を映像作品化した。
●レベッカ・ラモス(アメリカ)Rebecca
Ramos
絵画
ラモスは複数の写真素材を重ね合わせて作品化。アメリカの核実験と人間の「骨」のイメージを組み合わせ、核実験がその場所と人間に与える影響を表現する。
●エリス・コーレンカマラ(アメリカ)Elyse
Koren-Camarra
ミクストメデイア
透明のバイナルの着物作品に「未完成の着物」が合わさり、そのオブジェにプリントされる文章は、広島原爆投下直前にアメリカ軍航空部隊が日本人に対して撒いたチラシ、町が破壊されることが警告されている。
●中ハシ克シゲ(日本)Katsushige
Nakahashi
写真/立体
第五福竜丸が被ばくしてから50年目の2004年3月1日、マーシャル諸島のエニウエトク環礁で、核実験でつくられた巨大クレーターに核廃棄物を封じ込めたコンクリートドームを日の出から日没まで撮影した5千枚の写真を組み合わせたOn
The Dayプロジェクトの巨大タペストリー作品。第五福竜丸船体上に吊り下げられる。ビデオインスタレーションとメイキング組写真作品も展示。
●ヤノベ
ケンジ(日本)Yanobe Kenji
作品・立体・ミクストメディア
ヤノベは放射線感知服「アトムスーツ」を身にまとい、チェルノブイリや太陽の塔を訪れるなど、自ら動きメッセージを発してきた。本展では子どもサイズの「森の映画館」実は核シェルターを出展。この映画館では核攻撃をいかに生き延びるかを教える米国教育映像が上映される。
●塩澤秀樹(日本)Shiozawa
Hideki
『武器職人 パキスタン、ダッラ』
写真
パキスタンの部族地域、ダッラで撮影された少年の写真を出展。国家の法律ではなく、部族の掟が支配するこの地域では武器製造も合法である。武器職人の家に生まれた少年もまた、父や兄とともに、何の迷いもなく武器づくりに従事していた。キュレータ−のア−ロン・カーナーはこの写真に出会い、塩澤に本展への参加を要請。コラプシング・ヒストリーズに新たなるアーティストがまたひとり加わった。
●アーロン・カーナー(アメリカ)Aaron
Kerner
ビデオインスタレーション『死の灰』
アメリカは核兵器をつくりつづけ米ソ核対立のもとで1954年3月1日にはブラボー水爆(15メガトン、広島原爆1000倍の威力)で第五福竜丸に死の灰を浴びせた。あ同年11月3日、映画「ゴジラ」第一作が封切られたが、アメリカ版「ゴジラ」では、アメリカの核使用問題は削除された。2つの「ゴジラ」の異相から浮かぶ問題点を提起し、さらに米国核防衛教育映画から死の灰にどう生きのびるかを問う。
|
共同開催●第五福竜丸展示館
Collapsing
Histories 公式ホームページ
9.15
- 30
シュテフィ・ユングリング
Steffi Jungling
room4love.com
インタラクティブ・アート/インスタレーション
恋人たちが、その欲望を満たすために人目を忍んでふたりだけになる空間、ラブホテル。日本人にとってはごく当たり前のラブホテルという存在は、外国人にとってはとてもエキゾチックなものに映るようです。
体を交わし合うというとても限定された目的のために用意された空間。誰にも会わずにチェックイン/アウトができるシステム。快楽を追求するために用意された内装やグッズの数々。どうやら、こんなにひとつの目的のために特化し、そして想像力を駆り立てる「ホテル」は他の国にはないようです。
ドイツ人の女性アーティスト、シュテフィ・ユングリングも、ラブホテルという存在に心を動かされたひとり。主に文学をモチーフにインスタレーション作品を創出してきた彼女が、実在するラブホテル、ウェブサイト、ギャラリーを舞台にアートプロジェクト『room4love(ルーム・フォー・ラブ)』を展開します。
このプロジェクトには、台東区浅草で創業20年を誇る老舗ラブホテル『サンフラワー』が参加します。レトロ調、ゴシック調、和室、などとバラエティに富んだ内装や、インターネットを使った広報によって、地元の人々はもとより、観光客、外国人バックパッカーにも利用されているユニークでオープンなラブホテルです。
シュテフィは、このラブホテルの39部屋すべてにメッセージを設置します。内容はフランスの作家ロラン・バルトによる『恋愛のディスクール・断章』をモチーフに創作した小さな恋愛物語。部屋に入った恋人たちはシュテフィの空想が生み出した愛の物語の断片に出会います。
一方、ウェブサイト『room4love』にも39部屋を用意。空想のホテルの中のそれぞれの部屋には、サンフラワーの部屋と連動した360度のパノラマ画像とシュテフィの書いた物語が展開されています。サンフラワーの滞在客は部屋のメッセージに併記されたアドレスを手にし、このサイトにアクセスして、その部屋での体験談や自らの恋愛の物語を送信できます。もちろん実際のホテルに滞在していなくてもウェブサイトへのアクセス、メッセージの送信は可能です。
シュテフィは送られてきたメッセージをもとに新たな物語を創作し、ウェブサイトのそれぞれの部屋では、無数に愛の物語が紡がれていくのです。
この架空のホテルへのもうひとつの入口は、ギャラリー・エフに現れます。 シュテフィは、この空間でインスタレーション『愛の部屋』を創出します。通常の開廊時間内(11時〜19時)は自由に観覧できるとともに、19時以降は60分単位で部屋を貸し切ることができ(有料/一人1,000円/60分)、併設のバーからドリンクをオーダーすることも可能です(別途料金)。
架空の一部屋でありながら現実の空間。そこからは、徒歩10分で現実のラブホテル『サンフラワー』へと移動できます。
ラブホテル、ウェブサイト、そしてギャラリー。人々の想像力を駆り立ててやまないラブホテルをモチーフに生まれた愛の物語が、インタラクティブに広がります。
|
【注】
実際のサンフラワー内の各部屋を見学することはできません。
ご宿泊/ご休憩をご希望の方のみ通常のチェックインをなさってご利用ください。
■シュテフィ・ユングリング
1970年 ドイツ、ハースフルトに生まれる。
1991-1994年 ドイツ、ニュルンベルクにて石彫を学ぶ
1994年 EU「レオナルド奨学金」にてフランス、モンペリエに滞在
1996-2002年 ドイツ、カッセル美術大学
2002-2001年 ロンドン、セントラル・セントマーティン・カレッジ・アート&デザイン科へ留学。修士号を取得。
2003年 EU「RADAR奨学金」にてヴェニス、ブルガリアに滞在
DAAD(ドイツ学術交流会)奨学金にてドイツから鉄道で日本へ(11月)
■
97年〜03年 ヨーロッパ各地で多くのグループ展に参加
ルーム・フォー・ラブ http://www.room4love.com
浅草ホテルサンフラワー http://www.i-x.co.jp/sunflower/ 東京都台東区西浅草3-15-1
シュテフィ・ユングリング http://www.jungling.de/
10.3
- 11.7
LIVE MONTH
月夜の森 3
慶応4年、今から136年前の浅草に建てられた土の蔵で奏でられる、深まる秋の音の宴。
『月夜の森』は、都会のビルの谷間にひっそりとたたずむ異空間の中で行われるスペシャル・ライブです。 アコースティック演奏を中心に、民族楽器から伝統楽器まで、様々な宴が開かれる月夜の森で、土と木と音のハーモニー、奏者の息づかいまでをお楽しみください。
image photo:
Hideki Shiozawa
10.3/11.3
天鼓 民俗楽器
2,800円
世界各地の民俗楽器を自在に操りながら心地よい音を紡ぎだすユニット、天鼓。カリンバ、二胡、マリンバといった楽器を自ら製作し、演奏する暁天。時に激しく、時に繊細に、ビートを奏でるPercussion花。音の国境にとらわれない独自の音世界は世代を問わず聴く者をやさしい気持ちにしてくれます。
http://www.geocities.jp/kalimba9/
10.7
八城邦義 ドラム
上野哲郎/ベース 高橋厚雄/サックス
3,000円/定員40名
マルチドラマーとして代表的な存在となっている八城のドラムが、月夜の森の木々を震わせ、スピーカーボックスに入って聴いているような感覚です。
10.10/11
雲龍 笛
「まっくらな 蔵のなかに 笛の音がひびき 風とともに 一瞬を旅する」
2,800円
自然と、そして笛と語り合いながら音を紡ぎだす、笛奏者・雲龍。その深い音色は、聴く者を未だ見ぬ心の旅へと誘う。生まれた時代も、場所も違う笛たちと雲龍が描き出す森羅万象。ビルの森に囲まれた静寂な土蔵の中で
雲龍の笛の音に身をまかせてみませんか。
10.16
友吉鶴心 薩摩琵琶
花一看
第3章《日本の芸能史》
第3話「各地に根付く芸能」
演奏曲目『壇の浦』
2,500円
浅草出身の薩摩琵琶奏者・友吉鶴心が、伝統楽器の奏者としての新たな決意とともに、浅草から発信するイベント『花一看』。より身近に琵琶の音に親しみ、また楽器や歌、時代背景にまつわるお話も交え、琵琶と日本の文化をともに知っていただく会です。
花一看アーカイヴ
薩摩琵琶奏者 友吉鶴心
10.23
田島和枝 笙
太食調
2,500円
雅楽器の笙と竿(う)により、 古から伝わる調べを独奏します。今回の曲目は秋の平調の「太食調」。千年以上の時を超えて大切に吹きつながれてきた調子は、宇宙のハーモニーであり、古代と現在と未来をつなぎ響きます。光の音を奏でる笙と深い海を思わせる竿の音色を通して、古代の風景や空気感をご堪能ください。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/musubi-hime/
10.28
三木俊雄/テナー・サックス 上村信/ベース
2,500円/定員40名
http://123.4pu.com/mikitoshi/
日本のジャズシーンを代表するトッププレーヤーの2人が、テナーサックスとウッド
ベースで語り合うアコースティックデュオ。蔵の中で響きあうジャズの息遣いをお楽しみ下さい。
10.31
向後隆
+KOH-TAO
北インド伝統楽器エスラジ+民俗楽器
2,800円
東インド、ベンガル地方の弓奏楽器、エスラジ。本場のインドでも珍しいこの楽器を奏でる向後隆とカリンバや笛など様々な楽器を演奏するKHO-TAOのユニット。
向後隆 http://www.bon-music.com/
KOH-TAO http://www.medialabo.co.jp/moon/menu1.htm
11.3
暁天/花/トシ
子ども音楽会
子ども(0〜12歳)1,000円/大人2,000円
子どもたちには、小さい頃から素晴らしい音楽体験をさせたい思うもの。でも、回りを気にしながらではせっかくの機会も台なしです。この音楽会はあくまで子どもたちがが主役。暁天/トシ/花の3人が紡ぎ出す極上の民俗音楽を子どもたちが思いのままに体験する機会です。
11.7
デュオ・リュタン
暖〜蔵に響くバロック音楽
バロック音楽
2,800円
美しく、力強く、深い音色を持った鍵盤楽器、ヴァージナルと270年前のフルートの二重奏。16〜18世紀のクラッシック音楽を中心に、当時の音の世界を再現しながら、その良さを親しみやすく楽しむ音楽会です。
演奏者からのメッセージ
「暖かさ……。身体にとって最も大切なもの。そして音楽にとっても。どうして?どんなとき?人間は音を聴き暖かさを感じるのでしょう。今回もバロックの名曲を集めてみました。蔵の中でごく間近に、あるいは2階で寝そべりながら数百年前の時を経た音色にくるまっていただければ幸いです」
出演●デュオ・リュタン(木村夫美/ヴァージナル、朝倉未来良/270年前のフルート)
曲目●バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディの名曲 他にバード、スヴェ−リンクのバージナル曲やテレマンの無伴奏フルート曲、朝倉のオリジナル曲も。
|
11.12 -
21
クリストフ・カルネリ
Christof
Cargnelli
Second Order Circuit
音と光のインスタレーション
サウンドインスタレーション・アーティスト、クリストフ・カルネリが土蔵の中に、光と音によって
「生命体」を創りだす。興奮と瞑想が共存する空間体験。
後援●オーストリア大使館/文化フォーラム
オープニングパフォーマンス 11月11日(木)19:30〜
ヨーロッパで高い評価を受けているサウンドインスタレーション・アーティスト、クリストフ・カルネリ。電子技術やコンピュータのみならず、哲学や民俗学を学んできた彼は、様々な国での展示やワークショップを通じて、独自のサウンド表現の世界を切り拓いてきました。
ギャラリー・エフの土蔵−吹き抜けによってつながれた天井の高い二階建ての空間−という特殊な空間のなかで、カルネリは、ネオン管やセンサー、ピックアップ、ミキサー、エフェクター、そして自ら開発した電子回路を駆使し、光と音によるインスタレーション空間を創り出します。「静と動」、「興奮と瞑想」、そして「内と外」。瞬くネオンの光と繊細なノイズサウンドは、カルネリの解釈による日本、そして東京の姿を描きます。
無機的な電子技術によって緻密に構築された装置は、ギャラリーに足を踏み入れた人々と相互作用しながら、呼吸する生命体のような有機的な空間を生み出します。人に感応する光。光をなぞる音。訪れる人ひとりひとりを知覚しながら、空間は光によって広がり、そして音によって満たされてゆきます。
「これは記憶のゲームです。音は光の影であり、光は音から生まれ、反転された子なのです」クリストフ・カルネリ
■クリストフ・カルネリ Christof
Cargnelli
1970年、オーストリア・ウィーンに生まれる。コンピュータ音楽、電子メディア、哲学、民俗学などを学んだ後に、アーティストとしての活動を始める。その表現は、サウンド・インスタレーション、オブジェ、インターネット・アート、作曲など多岐にわたる。これまでにヨーロッパ各国、ロシア、アメリカ、
メキシコ、日本でその作品が評価され、様々な賞や奨学金を獲得している。日本では2003年に東京デザイナーズ・ウィークに参加。オーストリア文化フォーラムでも展示を行っている。今年はイタリア・ベニスで開かれた建築ビエンナーレにも参加。現在、ウィーンとベルリンを拠点に活動を展開している。
Christof
Cargnelli
12.4
- 18
せとうち・羽根田 鉄道グッズコレクション展
鉄道グッズ
企画●ギャラリー・エフ
協力●鍋島次雄/せとうち/羽根田
永年、鉄道グッズを収集してきた故・瀬戸内健三氏。瀬戸内氏は、旧国鉄の関係者から譲り受けたそのコレクションを紹介する場所として、昭和38年、東京・千駄木に料理屋「せとうち」を、7年後の昭和45年には喫茶店「羽根田」を開店しました。
どちらの店舗も鉄道グッズによって埋め尽くされています。昭和20年代に実際に使われていた列車の座席。壁一面にずらりと並ぶ駅の看板や時刻表。そしてトイレのドアには新幹線の扉が使われているという徹底ぶり。店内には蒸気機関車など列車の走行音が静かに流れています。大人から子どもまで楽しめる趣味の空間として、旬の料理や香り高いコーヒーを楽しむ場所として、このふたつの店舗は、鉄道ファンのみならず地元の人々の憩いの場として親しまれてきました。瀬戸内氏は他界する平成11年まで、「駅長」として自ら店に立ち、訪れる人々と鉄道談義に花を咲かせました。
子どもの頃、駅員さんに「でんしゃにちゅうい」の札をもらったうれしさがコレクションの原点だったという瀬戸内氏。本展覧会では、その約70年間に及ぶ膨大な量のコレクションから、一部を展示しております。駅看板や座席、看板など、懐かしの昭和の心象風景を彩ってきた貴重な鉄道コレクションの数々。時の経過を映す機能と使用の美を、同じく歴史を経た空間中でお楽しみ下さい。
●コレクションを入札販売(非公開入札)
残念ながら、喫茶店「羽根田」は先日閉店しました。閉店にともなう諸事情と、瀬戸内氏のコレクションを管理してきた関係者の「本当に大切にしてくれる人に持っていてほしい」という想いから、今回展示されるコレクションは非公開入札により販売しています。
入札シート(500円)を購入していただいた方にのみ限り、入札に参加することができます。
●「せとうち」とギャラリー・エフ
ギャラリー・エフは、浅草の地に江戸時代末期に建てられた材木問屋の土蔵を改装したアートスペースです。1996年、建物と土地の処分を余儀なくされていた現オーナーと、「せとうち」の内装を一手に引き受けていた漆造形作家・鍋島次雄氏とが「せとうち」で出会ったことから、鍋島氏の呼びかけに応じたのべ200人に及ぶボランティアのアーティストや職人たちにより、半年間に及ぶ改修工事が実現しました。「せとうち」との出会い。それこそが、江戸時代の蔵を現代に再生させたきっかけなのです。
●旅気分を満喫
展覧会は19時まで入場無料です。19時以降はバーの特別室としておひとり様1,000円のチャージにて貸切ご利用いただけます。初代新幹線の座席で旅気分をお楽しみ下さい。
※「せとうち」は現在も営業中です。
文京区千駄木3−37−19 プレジール千駄木
TOP
|