2

 

 あなたの作品のなかで、『RAW』 と『passages』という二つの作品はとても際立っているように思われます。これらの作品のテーマといかに出会い、どのようにプロジェクトを実現したのでしょう?

 


 

 どちらの作品も、私が、ダブリンにある「メディア・ラボ・ヨーロッパ」のHuman Connectednessのグループで研究員をしていたときに生まれたものです。当時、文化の独自性と関係性について関心がありました。『RAW』と『passages』のプロジェクトは、それぞれ違う方法論で、このテーマに取り組んだものです。『RAW』では、アフリカ西部のマリ共和国の文化や歴史、社会が外国の人々によりよく知られるためにはどうすればよいか?ということに想いをめぐらすことからコンセプトが生まれました。

マリ共和国の日常を伝えた『RAW』

 『passages』は、『RAW』ほどは明確ではありません。私は、肉体の動きとその痕跡を使うことをしてみたかった。これは、ヴァルター・ベンヤミンが書いた19世紀におけるパリの変化、近代化に向けて発生した都市基盤の変化についての随筆文に関連したものです。このふたつの作品を完成するために、ほとんどの時間をブレインストーミングに費やし、人々から意見をもらいながら、設計と技術にまつわる制約のなかでコンセプトを構築していきました。このプロジェクトをよりよいものとして完成しようと手伝ってくれたとても聡明な人々とのコラボレーション作品と言えるでしょう。

2会場を人の影によってつないだ『passages』

ヴァルター・ベンヤミン:1892年〜1940年ドイツの文芸評論家、思想家。

 

<< BACK

 


 

LINK
「メディア・ラボ・ヨーロッパ」Human Connectednessグループ
http://web.media.mit.edu/ ̄stefan/hc/
『passages』
http://www.superficiel.org/joelle/research/pages/passages.htm
『RAW』
http://www.superficiel.org/joelle/research/pages/raw.htm