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2010年 1月1日(金)〜24日(日)
mitsuo 4冊のスクラップブックから
写真
12:00-19:00|火曜休|入場無料

参加写真家|石井孝典、塩澤秀樹
デジタルプリント協力|堀内カラー
テキスト寄稿|いしいしんじ

企画制作 (C) ギャラリー・エフ

 写真文化は今、デジタル隆盛の時代を迎えています。カメラはフィルムから解放され、カメラ付き携帯電話の普及は写真撮影をごく日常的な行為としました。デジタル化によって撮影のコストは安価になる一方で、写真をプリントし、保存する動機は希薄になっています。写真を撮り、撮られ、残していく意味は確実に変化しているのです。
 2006年夏、東京のある旧家から4冊の古いスクラップブックが発見されました。収められていたのは50年以上前に撮影された大量のネガとプリント。撮影者は37歳の若さでこの世を去ったひとりの青年でした。彼は中判カメラを使いながら、家族の肖像を中心に昭和20〜30年代の情景を撮影し、その1コマ1コマをスクラップブックに整理していました。展覧会『mitsuo 4冊のスクラップブックから』は、彼が遺したネガとプリントを題材に写真展を構成することで、写真の過去と現在、そして未来をつなぐ試みです。
 このプロジェクトに共感し、50年前のネガをプリントしたのは写真家の石井孝典と塩澤秀樹です。手焼きプリントを重要な表現手段として位置づける彼らは、色褪せたスクラップブックから得た衝動を、写真表現の基本的な行為である暗室作業によって表現しました。
 ネガが失われてしまった写真については、写真現像の専門企業である堀内カラーによるスキャン、レタッチ、そして「ラムダプリント」による出力です。先端のデジタル技術と極めて精細なレーザープリンタを駆使し、50年以上前に焼き込まれた世界を再生しました。
 本展覧会は、ある無名の人物が半世紀前に撮影した写真を、現代に生きる写真の専門家たちがプリントによって再表現することで、「写真とは何か」を問う試みです。

 

石井孝典(いしい たかのり)
写真家。1968年大阪生まれ。人物ポートレートを中心に雑誌や広告で作品を発表。深みのある描写力には定評があり、雑誌『Number』では国内外の数多くのアスリートたちの撮影を担当。2008年6月にはトルコの国技である格闘技「ヤール・ギュレシュ(オイルレスリング)」の選手たちを4年間にわたり撮影してきた集大成として写真展『EDIRNE』をギャラリー・エフで開催。2009年1月には同シリーズをまとめた写真集『EDIRNE』(サンクチュアリ・パブリッシング)を上梓した。

石井孝典写真展『EDIRNE』(2007.06)>>
写真集『EDIRNE』 >>

塩澤秀樹(しおざわ ひでき)
写真家。1962年東京生まれ。人物写真での評価は高く、1996年から2004年にかけては月刊誌『Yahoo! Japan Internet Guide』(ソフトバンクパブリッシング)の表紙撮影を担当する。近年は、女性指揮者・西本智実氏や歌手・小椋佳氏の撮影を手がけ、CDジャケットや広告などでその作品が起用される。写真集に『指揮者・西本智実』(ソフトバンクパブリッシング)がある。2008年には、メイン写真を担当した『早稲田大学創立125周年記念事業』の新聞全面広告が第75回「毎日広告デザイン賞準部門賞」を受賞した。

塩澤秀樹 >>

いしいしんじ
作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部仏文科卒。2000年、初の長篇小説『ぶらんこ乗り』(理論社)を発表。2003年、『麦ふみクーツェ』(理論社)で坪田譲治文学賞受賞。主な著作『プラネタリウムのふたご』(講談社)、『ポーの話』(新潮社)、『みずうみ』(河出書房新社)、『四とそれ以上の国 』(文藝春秋)。

いしいしんじのごはん日記 >>

堀内カラー(ほりうちからー)
1959年設立の写真現像会社。プロフェッショナル向けのラボとして、多くの写真家たちから信頼されている。1993年より同業他社に先駆けていち早くデジタル画像処理を開始、1999年にはデジタルイメージングセンターを開業。2000年にアーカイブサポートセンターを開業し、デジタル技術を駆使した写真の保存記録のノウハウを構築、現在は政府機関などのアーカイブ事業も手がけている。

堀内カラー >>

展示風景

 

作家・いしいしんじによる寄稿