9月18日(金)〜10月4日(日)
ありがとう/TENKI
潮夢
写真によるインスタレーション
オープニング・パーティー|9月17日(木)19:00-21:00
12:00-21:00(最終日は19:00まで)
火曜休廊(9月22日のみ19:00までオープン)
入場無料
(C) ありがとう
舞踊家浅井信好、フォトグラファー新井健太、デザイナー梅谷麻耶によるデザイナーズユニット『ありがとう』。その処女作となる『潮夢』は、自然の風景と対峙する浅井の肉体を、新井が写真として記録した作品である。 一切の無駄なく、過剰な装飾も意味付けもなく、太古の昔より「自ずから然るべく」そこに在る「自然」。唯一無二である存在の美しさと儚さが生む波動を通して、自然を見つめ、学び、守り、愛し、共生することの本質を問う。 会場となるのは浅草に江戸時代から建つ土蔵を再生したアートスペース、ギャラリー・エフ。空間デザインを手がけるクリエイター集団『TENKI』(スタイリスト三田真一、デザイナースズキタカユキ、ステインアーティスト土屋秋恆)を迎え、インスタレーションを創出する。 |
展示風景 photo | 新井健太
(C) ありがとう | 浅井信好|あさいのぶよし |
(C) ありがとう |
新井健太|あらいけんた 1980年、東京都出身 AbSurdite ディレクター、グラフィックアーティスト、フォトグラファー、詩人。 グラフィックデザイナーとしてファッションブランド GalaadenD に於いて4シーズン、グラフィックデザインとテキスタイルデザイン全般を手掛ける。 他に the tron の1stアルバム BIG WEDNRSDAY 80' sのアートディレクション、グラフィックデザインを担当。 また、フォトグラファーとして都内セレクトショップのファッションカタログやアーティスト、作家のポートレイト撮影などマルチに活躍。 2007A/Wより、クリエイティブ集団 AbSurdite に於ける T-SHIRTS プロジェクトを開始。 http://www.flickr.com/photos/araikenta/ |
ありがとう 舞踊家 浅井信好、写真家 新井健太、デザイナー 梅谷麻耶、コラージュアーティスト 69からなるクリエイティブ集団。陰翳礼讃をモチーフとし、闇と光が螺旋のように交錯する美をテーマに作品を制作する。 過去の記憶を紡ぎだし、記録として作品を創造し、記録された作品を観た者はそこから多くのもの記憶する。 記憶とは生であり、記録とは死である。 記憶とは愛であり、記録とは愛である。 記憶と記録が求め合い、そこに humanity が誕生する。 |
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(C) Artfit by TENKI |
TENKI |
潮夢 -- TEXT by ありがとう&TENKI 自然のありのままの姿を見て私たちはその美しさにため息をもらし、無限とも思える静寂の世界に心奪われる。そしてその美しさを作品として表現しようと試みるとき、そこには多くの壁が存在することに気づく。 人は大いなる自然に対して敬意を持ち、観察し、取り込み、そこから多くを学んだ時にこそ、初めてその一部になることができ、そしてその壮大なる時間軸を肌で感じることができる。 自然の風景を極限まで省略した要素で構成した枯山水。人工的に造られたこの自然には、ある特殊な「美」が偶発的に発生している。枯山水を造る庭師は、訪れる客が「これはすばらしい石だ」と目をひくような「安易な美しさ」をあえて空間から取り去り、そぎ落とされた一見殺風景とも思える世界を作る。この簡略化された究極のミニマリズムの中には計算と偶発が共存し、個々の中にのみ存在するもう一つの時間軸を作り出している。少ない情報量のなかで五感を最大限に研ぎすましてこそ、初めて見えてくる美しさ。スキのない様式美をあえて壊し不完全な状態にしたときにこそ、それらはいちだんと崇高さを増し、見る側の想像力を借りて初めて完全な作品として生まれ変わる。個々それぞれに違う想像力を計算的に、またある意味偶発的に利用する侘びの美とは、自然そのものと対峙し続けたものにしか見えない境地であり、また同時に自己とも対峙し続けなければ見えない境地である。どちらも自らが自然を取り込み、自然の一部にならない限り生まれない作品であり、究極のネイチャーアートといえる。 私たちは展覧会『潮夢』で「存在自体の(自然な)美」を表現したいと考えている。 あるがままの姿を表現したこれら全てが一つの空間に共存することで、 浅井信好は骸骨に第一の皮膚を纏った人間に過ぎない。しかし、自然に対峙した自分は皮一枚だと思うほどの畏怖を抱きながらも、自身の奥深くに眠る三毒の焔を消すためにそれを取り込み、舞う。全てを自然にさらし、呼応する姿をまるで陽炎がようにたゆたうように表現する。その姿は新井健太によって撮影され、「記録」という第二の皮膚となり身体表現に纏うことで『潮夢』が生まれた。TENKIはそこで生まれた新しき美意識を「自ずから然からしむる」べく、ありのままに受け取り、衣服と植物による第三の皮膚として表現し全体を包み込む。 あくまでも人間は自然の一部である。 |
(C) ありがとう